【研修コース】畜産現場における感染症対策と獣医療サービスの強化研修が終了
2024.11.24
2024.11.24
JICAは国際的な「食料安全・栄養保障」「貧困対策」「家畜感染症の制御」のために、畜産分野の国際協力の一環として技術協力を行っています。
本研修は、開発途上国の畜産・獣医関連省庁や研究に従事する方を対象に、畜産現場における家畜疾病の診断と初動対応、予防のための実践的な技術と考え方を習得し、自国の獣医療サービス発展へ貢献する人材育成を目的に今年度初めて実施しました。
5つの国・地域(サモア、パレスチナ、スーダン、モンゴル、パラグアイ)から6名の研修員が参加し、来日前の2024年9月5日から30日の約1カ月は、オンラインや自習で獣医療サービスの基本的な知識を学んだ後、10月10日から11月7日の約1か月間来日して対面で研修を実施しました。
研修は講義・実習・視察で構成され、講義では、家畜保健衛生所が衛生管理において果たす役割や関係者との連携、北海道農業共済組合(NOSAI)の役割を学んだほか、事業マネジメント手法を学ぶPCM研修(PCM:Project Cycle Management)や酪農学園大学ではExcelを使って疫学に関する分析実習を行い、帰国後の活動計画について構想を練りました。
視察では、帯広市と大樹町の牧場を訪問し、獣医師の診察の様子を見学しました。帯広畜産大学で家畜の健康管理や繁殖管理について理論を学んだ後、牧場を訪問し治療の様子や子牛の健康管理・疾病予防について学びを深めました。大樹町ではNOSAIの獣医師による往診と手術の様子を見学し、現場での臨床診断や実際の治療を目の当たりにして、研修員は高い関心を寄せていました。
PCM講義の様子
牧場視察
研修最終日に研修員が策定した今後の活動計画について発表を行いました。対面とオンラインのハイブリッド形式で開催し、帯広畜産大学の留学生や参加研修員の各国関係者など計25名が参加しました。
研修員からは、
「家畜の感染症を防ぐために、ワクチン接種を畜産農家へ広めたい。そのためにワクチン接種の重要性を畜産農家へ伝える研修会を行いたい。」
「家畜の乳房炎(乳房に細菌が入り炎症を起こす疾病)を早期発見するための検査を畜産農家へ広めたい。」など、意欲的な活動計画が発表されました。
参加者からコメントやアドバイスを多数いただき、研修員は今後の活動についてモチベーションが高まっていました。
研修外では、日本語研修で「おはよう」「ありがとう」といった挨拶や箸の使い方を学んだり、農業高校生とうどん打ち体験やハロウィンイベント、阿波踊り体験に参加したりするなど、市民との交流を通じて日本文化への理解も深めていました。また滞在中は、紅葉で色づく景色を楽しんだほか、最終日に雪が積もった様子を見て、初めて雪を見る研修員達は大変喜んでいました。
閉講式では出会った人々、ともに学びを深め合った仲間への感謝の言葉が溢れました。
2025年5月には、オンラインでフォローアップ研修を行い、来日中に作成した活動計画の実施状況や今後の取組について意見交換を行う予定です。帰国後、活動計画を進めるにあたり困難に直面することがあるかもしれませんが、関係者や出会った仲間との繋がりを励みに、よりよい獣医療サービス推進に向けて活躍されることを期待しています!
手術の見学
発表会後の集合写真
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