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【研修コース】マレーシアのSDGsを推進中! ―帰国3か月後の活動報告―

2025.04.09

 毎日食卓にならぶおいしいごはん、これからもその当たり前の日常を続けていくために「持続可能な食料システム戦略による地場産業振興」研修を行っています。環境や世界情勢の変化、災害などにより、資源が不足すると、いつもある日常を続けることが難しくなってしまいます。特に、途上国では食べ物を安定して生産、供給することができず、その影響は日本だけではなく世界中へと及んでしまいます。研修では、食料自給率1345%を誇る十勝にて、地域特性を活かしながら安定した生産・供給を行える仕組みを学び、自国における政策・活動計画を作成します。そして、帰国後に、計画を所属先や同僚へすぐに共有できるように、絵で示すビジョンも併せて作成します。
今回は、マレーシアから参加したHakimさんの帰国後の活動をご紹介します。帰国後、Hakimさんはまず、所属先の食料農業省・幹部へ向け、研修に関する報告を行いました。この報告がきっかけとなり、活動にて3つほど大きな動きがありました。

持続可能な畜産業をどのように増やしていくか、マレーシア・食料農業省内で議論中!

1.マレーシア・食料農業省 共通のビジョンを作成

 マレーシアにおける持続可能な農業の目指すべき姿を明確にし、これからの方向性を示すビジョンを作成し、省内での共有を進めました。現在では写真のように、省内に掲示されています。

Hakimさんとマレーシア・食料農業省のビジョン

2.持続可能な農業とSDGs達成へ向けた、専任官が誕生!

 ビジョンを推進するヒトとして、専任官のポストが新たに省内に設置されました。マレーシアにおける2030年までの農業・食料政策では、特に、食料の安全保障、経済成長に注力していますが、本研修カリキュラムの一つであり、日本の農林水産省が進めている「みどりの食料システム戦略」による学びから、さらに環境配慮への視点も持つ専任官が誕生し、SDGs達成へ向けた大きな一歩となったようです。

3.官民連携のパイロットプロジェクト、始動!

 Hakimさん考案の<パームヤシ農園での林間放牧による持続可能なパームオイルと畜産生産>が、省のプロジェクトとして採択され、現地大手パーム農園会社とのパイロットプロジェクトが開始されました。森林伐採や酪農・畜産のための草地不足など、マレーシアが抱える問題の解決の糸口となることが期待されています。

パイロットプロジェクトサイト

Hakimさんと飼養場の牛たち

 帰国後、次々と研修による学びを活用されているHakimさんですが、今後、日本とのコラボレーションも思案されているとのことです。「環境に優しい持続可能なアプローチかどうか」という視点にて、農業とビジネスを経済的および社会的に、どのように盛り上げていけるのか、日本と一緒に考えていきたいと話されていました。いつか日本でこの研究へ取り組み、修士号の取得を考えているそうです。Hakimさんの新たなご報告を、私たちも楽しみにしております。

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