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【研修コース】アジア圏でSHEPアプローチが広がる~研修終了報告~

2025.10.08

 「作ってから売る」のではなく、市場で「売るために作る」。
JICAが開発した小規模農家支援の SHEP (Smallholder Horticulture Empowerment & Promotionの略)アプローチは、農家が市場ニーズを意識しながら作物を育てることで、農所得向上を目指しています。
 【詳細はこちら】https://www.jica.go.jp/activities/issues/agricul/shep/
 十勝とスリランカでアジア圏を対象としたSHEP研修が行われ、アジア7カ国(バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイ)から計23名の研修員(行政官、大学教員等)が参加しました。

本邦研修(8/25~9/5)

 JICA北海道(帯広)で行われた研修では、まずSHEPの概念や手法、アプローチについて学んだあと、市場を意識した農業生産・流通・販売の事例として十勝地方の関係機関を訪問しました。
 特に農業協同組合や農業改良普及センターの仕組み、市場の透明性や販売時の差別化の工夫などに研修員の関心が集まり、質問が止まりませんでした。


 訪問後は得た知見をもとに、ワークショップや今後の活動計画を作成しました。
 「ワークショップによって振り返りとアイデア整理ができたほか、互いの経験を共有でき学びが深まった」という意見もありディスカッションに熱が入りました。

農家視察

ワークショップにて意見交換

在外補完研修inスリランカ(9/8~9/12)

 本邦研修後、JICAの技術協力プロジェクト「サプライチェーン強化を通じた中小規模農家の生計向上プロジェクト 」が行われているスリランカを訪問し、5日間の在外補完研修を実施しました。
 本研修はスリランカで初めての開催となり、開講式には約100名の関係者が集まり大きな注目を集めました。

 研修では、スリランカ中部州の州都であるキャンディ最大の市場を訪れ、市場関係者にトマトや唐辛子、キャベツなどの農作物についてのニーズを聞き取りました。これを基に、研修員たちは栽培する作物の選定や出荷時期について意見交換を行いました。また、プロジェクトが実施されているヌワラエリア県の村を訪れ、農家の方々と意見交換を行い、「プロジェクトを通じて作物の栽培適期や適切な農薬の使い方等の情報を得ることができた」「取り扱う作物の品種や栽培面積を増やすことができた」といった成果も伺うことができました。
 研修員からは、「市場調査の重要性が理解できた」「自国に合わせた調査内容を考えたい」といった声が上がり、SHEPアプローチへの理解が深まっていきました。

市場聞き取り調査

農家訪問

各国で広がるSHEPアプローチ

 最終日には、本研修で学んだことを今後各国でどのように実践するか研修員が発表しました。研修を終え「SHEPは暮らしを変える力がある」と実感した研修員たちの表情は希望に満ち溢れていました。閉講式で修了証書を手渡された研修員からは、日本ならびにスリランカでお世話になった方々への感謝の言葉がつきませんでした。

 十勝とスリランカで学んだ知見をもとに各国でSHEPアプローチが展開され、人々の生活が豊かになる、そしてその様子を次の研修員が視察で訪れる・・そうした笑顔の循環が生まれる未来を願っています。

チームに分かれて意見交換

集合写真

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