jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

【研修コース】アジア 市場志向型農業振興 ―SHEPアプローチ―(行政官)(A)コース実施報告

2026.06.12

2026年度の課題別研修「アジア 市場志向型農業振興 ―SHEPアプローチ―(行政官)(A)」コースを以下の内容で実施しました。

研修日程

  • 実施期間:2026年5月18日 ~ 2026年5月29日
  • 開催場所:帯広、十勝地域
  • 参加国:バングラデシュ、インドネシア、モンゴル、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、タイ、東ティモール

研修の目的

本邦及び在外補完研修で学んだSHEPアプローチ(※)を用いたアクションプランが、研修員の所属組織により帰国後、実践される。
(※)Smallholder Horticulture Empowerment & Promotion(SHEP)アプローチとは、2006年から始まったケニア農業省とJICAの技術協力プロジェクトにおいて開発された小規模園芸農家支援のアプローチです。野菜や果物を生産する農家に対し、「作ってから売り先を探す」から「売れるものを作る」への意識変革を起こし、営農スキルや栽培スキル向上によって農家の園芸所得向上を目指すものです。

研修の内容

 5月後半の2週間にわたり、帯広・十勝地域においてSHEPアプローチに関する研修を実施しました。本研修には、バングラデシュ、インドネシア、モンゴル、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、タイ、東ティモール8か国から、農業普及などに携わる行政官や研究者など14名が参加しました。
 第1週は、SHEPの核となる基本コンセプトの理解を中心に講義形式で研修を実施しました。SHEPは「ビジネスとしての農業の推進」と「人が育ち、人が動くためのデザインと仕掛け」という2つの要素から成り立っており、前者では市場ニーズに基づく営農の重要性を学びました。具体的には、「誰が、何を、どの品質で、いつ、どれだけ、いくらで求めているのか」といった情報を把握し、情報の非対称性を緩和した生産と販売を結びつけることで収益性の高い農業を実現する考え方について理解を深めました。後者では心理学の自己決定理論を基盤とし、農家の内発的動機づけを高めるアプローチについて学びました。自律性・有能感・関係性という3つの欲求に着目し、農家自身が主体的に考え、行動できる環境づくりの重要性が共有されました。これにより、外部からの指示ではなく、農家自らの意欲によって行動変容が促されるプロセスへの理解が深まりました。

 第2週は、十勝地域の農家と農家を支援している組織の視察および演習型ワークショップを中心に実施しました。参加者は、SHEPの4つのステップである「対象農家選定と目的共有」「農家の気づきの機会創出」「農家による意思決定」「技術の提供」に基づいた一連の流れを体験的に学びました。

 本研修を通じて、参加者はSHEPアプローチの理念と実践方法を体系的に理解し、自国での適用に向けた具体的なアイデアやヒントを得ることができました。今後は、それぞれの国の文脈に応じた形でSHEPの考え方を取り入れ、農家の所得向上や持続的な農業発展に寄与することが期待されます。なお、9月にはスリランカにおいてフォローアップ研修(在外補完研修)の実施を予定しており、市場調査や、その結果に基づく作物選定などの演習をとおして、各国での取り組み状況の共有やさらなる能力強化を図る予定です。

参加研修員からの声

「SHEPアプローチの概念を導入する私たちにとって、このプログラムは目から鱗が落ちるような気づきを与えてくれました。」
「日本は景色や文化が美しく、人々は誠実で、時間厳守、勤勉で、仕事に熱心であり、礼儀正しいです。」

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ