【研修コース】十勝で描く、日系社会を支える農業の未来 ~研修実施報告~
2026.07.24
2026.07.24
2026年5月13日から6月16日にかけて、日系社会研修「日本最大の食糧生産基地で学ぶ、6次産業化およびスマート農業を活用した地域経済活性化と農業・農村開発」を実施しました。
参加したのは、パラグアイ、アルゼンチン、キューバの日系の農業経営者および農協職員10名です。
この研修は、日系農業者や農協職員などを対象として、十勝で実践されている6次産業化およびスマート農業を活用した地域経済活性化と農業・農村開発の実践事例を通じ、日系社会を含む農業地域における課題に対応できる農業人材を育成することを目的としています。
研修ではまず、十勝独自の開拓の歴史を背景とした農業・農業経営の特徴や、農協の役割などについて学んだあと、6次産業化を実践する農家や、スマート農業を実践して大規模生産に取り組む農家などを訪問しました。
研修員が特に印象に残った点の一つが、徹底した土壌管理と資源循環の考え方です。
輪作や土壌分析、堆肥の活用など、長期的な視点で土地を守りながら生産性を高める取り組みから、多くの気づきや発見があったとの声が多く聞かれました。
また、ドローンや環境センサー、ロボットトラクターなどの導入により、省力化と高精度な農業管理が実現されている点についても関心が集まり、自国での将来的な活用可能性が検討されていました。
さらに、農業を軸に加工・販売に加え、観光や体験を融合させることで、新たな魅力と収益を生み出す取り組みは、多くの研修員にとって新鮮な気づきとなりました。
土壌分析に基づく施肥で地力を生かした農業
環境センサーを活用したデータ型農業を実践
●「道の駅ピア21しほろ」の視察を通じ、地方創生という明確な目標を持つ施設の可能性に感銘を受けた。
●農産品直売所「愛菜屋」では、組合独自の多彩な販路や販売拠点を活用し、あらゆる地域産品を取り扱うことで、組合員の経営基盤強化に寄与している。
●日本では、加工や販売を通じて農産物の付加価値化が図られているだけでなく、新たな取り組みを後押しするための制度的・財政的な支援体制が整備されている点に感銘を受けた。
●現在パラグアイでは土壌への栄養補給のため緑肥作物の栽培が不可欠とされているが、十勝では同様の取組みが30年前から実践され、持続的に成果を上げていることから、その有効性を確認できた。
<心に残った言葉>
●尾藤農産の社長が仰った「成長とはより多くの土地を所有することではない、成長を望むのであれば、まず自分の仕事が好きであることが第一歩であり、最も重要なことだ」という言葉が印象に残っている。
●よつば乳業で伺った「新しい商品を作る際、いきなり新しい設備を導入するのではなく、まずはすでに工場にある設備でできるものを作るべきだ」という考え方は、自身の活動計画を作る上で参考になった。
雪室貯蔵でじゃがいもの付加価値を向上
農場の環境を生かした観光ビジネス
研修員の皆さんは、研修での学びや体験を活かし、自国で以下のような活動を計画しています。
●バイオ資材の導入~持続可能な収益性と環境にやさしい土壌作りを目指して~
●薬害リスク低減および防除効果向上を目指した環境センサー導入
●直売所の開設と付加価値化の推進
●ラパス農協・お菓子専用薄力粉パックの開発
●食・自然・体験をつなぐ、体験型園芸農場の構築
帰国後の皆さんの活動が、新たな挑戦として広がっていくことを期待しています!
農産品直売所「愛菜屋」は生産者による運営
修了式の様子