jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

札幌市立北野中学校の授業モニタリングに行ってきました!

2026.02.10

2025年度教師海外研修(モンゴル) 授業実践【札幌市立北野中学校】

研修でリーダーを務めた菅井先生

教師海外研修とは、開発教育/国際理解教育の実践と推進に意欲のある、小中高校と特別支援学校の先生が、JICAが支援する開発途上国に赴き、現地で得た知見を活かし、日本国内各校の児童生徒向けに教材を作成し、日本国内で授業実践を行う機会です。

2025年度の研修では、モンゴルを対象国としました。今回は、札幌市立北野中学校で行われた授業の様子をお届けします。

熟考を重ねた菅井先生の教材

モンゴルの文化も菅井先生ご自身の体験もカード化

2025年11月5日(水)、札幌市立北野中学校2年4組にて、菅井誠先生による授業が行われました。この日までに幾度もの検討と改善を重ねてきた授業とあって、当日はアドバイザーもスタッフも期待に心を躍らせ訪問しました。

授業で使用された教材は、カードゲームをベースにした参加型の学習教材です。生徒たちは4人1組のグループとなり、それぞれ「モンゴルの政治家」「優秀な男子高校生」「貧困地区の少女」「都会嫌いの農業者」の役になりきるロールプレイに挑戦します。
カードも工夫に富んでいて、「遊牧民」「ナーダム(モンゴルのお祭り)」「雨の恵み」など、モンゴルの文化背景を知ることができるものもあれば、「菅井先生がかかった高山病」「菅井先生が閉じこめられたドア」など先生自身の実体験が基になっているカードもあり、生徒のみなさんはより親しみを持って授業に取り組めるようになっていました。

お金も幸福も。協力して社会をつくるゲーム。

4つの役割になり話し合いながらゲームは進む

このゲームには2つの大きな目的があります。
①4人で協力してお金を集めること
②「バイル指数」という幸福度を高めること
の2つです。

参加者はグループごとに役割になりきって、社会の一員としてゲームを進めていきます。
自分のターンが来たら、まずその役割ごとの特別なルールに則って、お金を動かします。お金を獲得できるプレイヤーもいれば、他のプレイヤーから寄附してもらわなければターンを飛ばされてしまうプレイヤーもいます。こうした仕組みを通して、社会の中にある立場の違いが自然と体感できるようになっています。

次に、モンゴルに関わる課題や出来事が書かれたカードを引きます。
カードの2つの選択肢をみんなで考えて進みます。
例えば「地方から都会への移住」というカードでは、
「経済成長を優先し、移住を進めてお金を得る」か「人の移動を制限し、若者や農村の暮らしを守る」を選ばなければなりません。
どちらを選択しても、メリット/デメリットがあるので、正解は1つではありません。

この他にも、アイテムカードやお助けカードなどが登場します。それらは単なる仕掛けではなく、自然にモンゴルという国や社会背景を知ることができる工夫でもあります。

どんな社会ができあがった?――グループごとに異なる学び

ゲームが進むにつれ、お金を集めることを優先的に進めるグループもあれば、貧しい子どもに優しい選択をするグループ、一回一回の選択に時間をかけるグループがあったりと、グループごとに個性が出ていました。

そうした個性や選択が、ゲームの終盤で「どんな社会ができあがったか」という形ではっきりと現れます。政治家が多くのお金を持つ社会も生まれれば、国民の幸福度が高い社会、皆が納得がいくようによく話し合う、言わば民意が反映されやすい社会も見られました。

ゲーム終了後に、生徒にどのような気持ちになったか菅井先生は投げかけていきます。
「お金がたくさん集まってうれしかった」「お金はあっても幸福度が低いのはどうなの」「貧しい役だったけど助けてもらえて安心した」「うちの国の政治家は優しい政治家だった」
同じ条件でスタートしても、グループの数だけ違う社会が生まれました。
その分、学びも感想もグループごとに違い、色々な社会の様々な人たちの気持ちが、教室に共有されました。

そして、モンゴルへ。

菅井先生が実際に会ったモンゴルの少年がモデルのアナンドくん

菅井先生のゲームは教室内にとどまりません。
4つの役割の中に、アナンドくんという、社会問題に関心の高い優秀な少年が登場します。菅井先生がモンゴルで出会った実在する少年がモデルです。
アナンドくんの役割カードには、「何か解決策がほしかったら私に言ってください」との台詞が書かれており、実際にゲームの中で、プレイヤーが解決策を提案することができます。

生徒から出た解決策のアイデアを、モンゴルに住む本物のアナンドくんに届けたい――それが、菅井先生の構想です。日本の中学生の学びとなる教材にとどまらず、遠く離れた国の社会課題とつながる、そんな壮大で希望に満ちた授業が、ここから生まれようとしています。北野中学校の生徒のみなさんのアイデアが、モンゴルの社会問題解決の一助になる時が来るかもしれません。

菅井先生の教材は、これまでの試行錯誤によって高い完成度に磨き上げられてきましたが、そこで立ち止まることはありません。
これから先、どんな形に進化していくのか。今後の展開が楽しみな取り組みです。

■関連リンク
札幌市立北野中学校ホームページ
室蘭養護学校の授業モニタリングに行ってきました!
利尻富士町鴛泊小学校の授業モニタリングに行ってきました! 
旭川藤星高校の授業モニタリングに行ってきました!  
札幌市立元町中学校の授業モニタリングに行ってきました!
開発教育支援事業
教師海外研修

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ