JICA緒方研究所

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ブルキナファソの「みんなの学校プロジェクト」 JICA研究所が経済実験で成果を検証へ

2011年1月5日

西アフリカのブルキナファソでJICAが技術協力する「みんなの学校プロジェクト」(正式名称:住民参加型学校運営改善計画、写真=学校外観)の成果を実証的に把握すべく、JICA研究所は2009年4月から、そのプロジェクトの研究を進めています。小塚英治リサーチ・アソシエイト(RA)は10年12月5日~20日、現地調査のため、同国の首都ワガドゥグと中部のガンズルグ県を訪問しました。

みんなの学校外観IMG_0667.JPG今回の現地調査では、10年11月下旬~12月初旬にブルキナファソ国家統計局の協力を受けてガンズルグ県で実施した「経済実験」の状況確認をしました。この経済実験では、参加者がどの程度お互いを信頼して、自発的な協力をするのかを計測するため、「公共財実験」と「リスク実験」と呼ばれる2種類の実験を行いました。これらの実験は先進国・途上国を問わず世界中の実験室や大学等では広く実施されている標準化された手法ですが、今回の調査は、JICA事業の対象地域である発展途上国のフィールドで実施している点に特色があります。

公共財実験では、小学校の校長や教員、児童の親、学校に子供を送っていない親、「学校運営委員会」(COGES)のメンバーなどからなる4人1組のグループを作ります。参加者はその際、1人100CFAフラン(約17円)の硬貨5枚が与えられます。各参加者はこれらの硬貨を自分のものにしてもいいし、また公共財としてグループのために差し出すことも可能です。グループのために差し出したお金は2倍に増えて戻ってきますが、その代わりそのお金は参加者全員で平等に分配しなければならない、というルールを設定します。

この実験で、参加者がどれだけのお金を自分のためにキープするか、またどれだけをグループのために差し出すか、といった意識を数値として割り出し、みんなの学校プロジェクトの対象となった学校とそうでない学校の間で人々の間の信頼感がどのように異なるかを比較することが可能になります。

もう1つのリスク実験では、硬貨を投げて、表が出れば2倍、裏だとゼロになるというルールのもとで、各参加者は、硬貨5枚のうち何枚をこの「リスクのある投資」に使うかを調べます。この実験が意図するところは、個人のリスク選好(リスクをとることを好むかどうか)を計測することです。

この2つの経済実験はこれまでに、みんなの学校プロジェクトが開始された小学校とそうでない小学校合わせて約40校、合計およそ800人に対して実施されています。

このほか、今回の現地調査で小塚RAは、11年1月下旬から手がける「広域調査」や「子ども就学調査」の内容・手順についても、統計局や教育省、現地の学校関係者、プロジェクトのスタッフらと話し合いました。
広域調査は、ガンズルグ県内にある約270の小学校すべてをカバーする形で親や児童、校長、教員、COGES委員長、保護者会の会長、母親会の会長、村落開発委員会の委員長らおよそ1万人を対象としたインタビュー調査を行います。

主な質問項目は「家族構成」や「経済状態」といった基本的なものから、「保健衛生の状況と関連する行動」、「社会グループ(農民の組織、宗教のグループ、文化的なグループなど)への参加状況」、「児童の出席率」、「家と学校の距離」、「フランス語の読み書きができるか」、「学校が好きかどうか」など世帯や子供に関する情報に加え、「学校の教室数」や「教員の属性」、「COGESの活動状況」など子供の就学にかかわるあらゆる情報を収集しています。小学校高学年の児童には足し算や掛け算など算数の簡単な質問を実施していることに加え、卒業試験の成績についてもその決定要因を統計的に解析します。

小塚RAは「今回の調査で面会した教育省や学校の関係者からは『みんなの学校プロジェクトの活動を行っている学校では、生徒の出席率や住民の参加などに良い影響が出始めている』という話を聞くことができた。ただし、ガンズルグ県全体として本当にプロジェクトの効果が出ているのかを知るためには、これから集まってくるあらゆるデータを駆使して厳密に分析する必要がある。また、プロジェクトが始まってからまだ1年しか経っていないので、長期的な効果を知るためにはもう少し時間が必要」と話しています。

 住民の活動のよって建てられた食堂.JPG

 みんなの学校プロジェクトは、小学校の校長や教師、児童の親、地域住民らで構成する「学校運営委員会」(COGES)を立ち上げることによって、住民参加の学校運営を目指す取り組み。具体的には地域社会のメンバーが、活動計画を策定し、そのための資金や労働力を提供し、教室や井戸、トイレなどの整備、地域の食材を使った給食の提供、校庭のそうじ、問題集の購入など、児童のためにより良い学習環境を作っていく。写真は食堂。この教育改善プロジェクトは04年にニジェールでスタートし、セネガル、マリと広がり、ブルキナファソは4カ国目

関連研究領域: 平和と開発、援助戦略

関連研究プロジェクト: JICA事業における体系的なインパクト分析の手法開発

日時2010年12月 5日(日) ~ 2010年12月20日(月)
場所ブルキナファソ



開催情報

開催日時2010年12月 5日(日)~2010年12月20日(月)
開催場所ブルキナファソ

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