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JICA研究所とドイツ開発研究所、「一般財政支援ワークショップ」を合同開催

2011年11月24日

DSCF9593 - コピー - コピー.JPGJICA研究所とドイツ開発研究所は11月9日、東京・市谷のJICA研究所で「一般財政支援ワークショップ」を合同で開催しました。両研究所はこれまで、「一般財政支援」(被援助国の一般会計に直接資金を拠出する援助スキーム)の援助効果について研究してきましたが、この合同ワークショップで意見交換することによって互いの研究をさらに深めることが狙いです。

ワークショップは、一般財政支援のマクロ分析をテーマとするセッション1と、アフリカのケーススタディーを報告するセッション2の二部構成で進められました。

セッション1では、JICA研究所の古川光明上席研究員と高畑純一郎リサ-チ・アソシエイト(RA)の2人が共同で「マクロレベルにおける一般財政支援の評価」、ドイツ開発研究所のスベア・コフ・リサーチフェローが「欧州委員会による一般財政支援とドナー間(特に欧州委員会とEU加盟国間)の協調の挑戦あるいは失敗」のテーマでそれぞれ発表しました。

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(左から)古川光明上席研究員、高畑純一郎RA
このプレゼンテーションで古川上席研究員と高畑RAは、一般財政支援は98年にウガンダでスタートしたのを手始めに、他のアフリカ諸国、南アジア、中南米へと拡大し、主要な援助形態となったことなどの総論に触れたのち、一般財政支援は、「保健分野への予算配分を増やすのか」「保健指標への政府保健支出を効率化するのか」といったリサーチクエスチョンをベースにした研究成果を発表しました。

研究成果をまとめると、一般財政支援を導入したからといって、政府の保健支出が特に増えることはなく、また政府の保健支出を通じた保健指標の改善も認められなかった一方で、低所得国に限定すると、一般財政支援の効果として、政府の保健支出に対する予算配分が優先される傾向が認められることが確認されました。ただし、一般財政支援の導入によって政府保健支出が保健指標をどれだけ実際に改善しているのかという点については確認できず、一般財政支援による効果が限定的であることが示されました。

続くセッション2では、古川上席研究員が「タンザニアにおける財政支援」、ドイツ開発研究所のステファン・ライダラー・エコノミストが「ザンビアにおける財政支援」について発表しました。

このセッションで古川上席研究員は、一般財政支援を導入したタンザニアの事例を紹介しました。特に注目したのは、援助資金や交付金の支出のタイミングについてで、その遅れによって当初予定されていた計画が悪影響を被る点です。これはタンザニアの政府・自治体によっても問題視されていた問題でした。また、この他にも途上国官僚のキャパシティ、人的資源の不足などがある点が紹介され、一般財政支援とプロジェクト支援等の補完性の重要性を指摘し、その結びとしました。

欧州諸国を中心として、プロジェクト型援助から一般財政支援へと援助スキームの転換が進められつつあるなか、一般財政支援の援助効果について包括的に分析した先行研究は少ないのが実態です。JICA研究所は、研究プロジェクト「開発援助レジームにおける財政支援の意義と限界」のなかで、一般財政支援の実施によるサービスデリバリーさらには指標への影響の検証、そして一般財政支援の実施における途上国でのボトルネックの検証などを行っています。 

ムービー・コメンタリー

・Dr. Jörg Faust
Head of Department Governance, German Development Institute
・Mr. Stefan Leiderer
Economist, German Development Institute
・Ms. Svea Koch
Research Fellow, German Development Institute

日時2011年11月 9日(水)
場所JICA研究所
主催者JICA研究所、ドイツ開発研究所
言語英語

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