JICA研究所

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開発途上国の大学教員の海外留学がもたらすインパクトとは? インドネシアとベトナムで予備調査を実施

2018年5月31日

JICA研究所は、研究プロジェクト「途上国における海外留学のインパクトに関する実証研究-アセアンの主要大学の教員の海外留学経験をもとに-」を2018年4月より開始しました。開発途上国の大学教員の海外留学は、その国の社会的、経済的、文化的、科学的な発展に貢献してきたものの、その効果についての研究はほとんど行われていません。そこで同研究では、カンボジア、インドネシア、マレーシア、ベトナムの4カ国で中心的な役割を果たしている大学(1カ国2大学で計8大学)を対象に、大学教員の海外留学がその国の発展にどのようなインパクトを与えたか分析を行います。

まず、2018年4、5月にインドネシアとベトナムで予備調査を行いました。今回は対象となる大学を初めて訪問し、情報収集や研究計画などについて議論するのが目的です。

バンドン工科大学のKadarsah Suryadi学長(右)と面談したJICA研究所の萱島信子所長

4月23、24日には、JICA研究所の萱島信子所長や辻本温史リサーチ・オフィサー、人間開発部高等・技術教育チームの梅宮直樹課長がインドネシアのバンドン工科大学とガジャマダ大学を訪問しました。バンドン工科大学ではKadarsah Suryadi学長らと面談し、アセアン工学系高等教育ネットワーク(AUN/SeedNet)などJICAの技術協力プロジェクトを活用して多くの教員が日本に留学した結果、他の留学先の国と比べても日本の教員や大学との連携が盛んに行われていることが分かりました。また、ガジャマダ大学のIka Dewi Ana副学長らからは、留学のインパクトを知ることは今後の大学の教員育成に重要な示唆を得られるため、共同研究として主体的に取り組みたいという希望も寄せられました。

両校の教員との面談では、大学教員の海外留学のインパクトとして、博士の学位を取得できる博士課程の効果が大きく、留学先の博士課程で経験した教育や研究方法、研究室運営方法などが帰国後に伝えられていることや、留学後も海外との学術ネットワークが維持され、帰国後に継続して国際的な研究に携われている点などが挙げられました。

ベトナム国家大学ハノイ校で研究プロジェクトについて協議

また、5月7、8日には、JICA研究所の黒田一雄客員研究員(早稲田大学教授)や田口晋平職員、共立女子大学の浅田サラ准教授がベトナムを訪問。ベトナム国家大学ハノイ校ではLe Tuan Anh協力開発部副部長らと面談し、留学経験者に関するデータや奨学金プログラムなどについての情報収集や教員への調査方法についてなど、今後のアクションやスケジュールなどを協議しました。また、ハノイ理工大学ではVu Tuyet Trinh国際協力部副部長らと面談し、協働で研究を進めていくことを確認しました。

両校とも教員の留学派遣を重要視しており、教員らとの面談を通して、派遣した教員が海外留学から帰国後に新しい修士コースを立ち上げたなど、留学のインパクトがもたらした成功事例となりうるケースをヒアリングすることができました。

残り2カ国のマレーシアとカンボジアへの予備調査も7月(予定)に実施し、その後の調査をふまえて大学教員の海外留学によるインパクトを分析していきます。

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