ジェンダーに基づく暴力研究の調査結果をウガンダでフィードバック—川口研究員

2018.06.25

2018年5月20~31日にJICA研究所の川口智恵研究員がウガンダを訪問し、JICA研究所の研究プロジェクト「紛争とジェンダーに基づく暴力(GBV):被害者の救援要請と回復プロセスにおける援助の役割」のフィールド調査結果を現地でフィードバックしました。

川口研究員は、ジェンダーに基づく暴力(Gender-based Violence: GBV)被害後の救援要請プロセスに重点を置いて研究をしています。2018年2~3月に、JICA研究所の調査チームは現地パートナーであるNGO、War Child Canadaと協力し、ウガンダの6地域(カンパラ、キリアドンゴ、アジュマニ、アルア、モヨ、ユンベ)に住む南スーダン難民を対象に、個別インタビュー調査とフォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)を実施しました。

今回、各地で開催されたフィードバック会合には、地方自治体や国際NGO、国連機関など、現地で難民支援に携わる関係機関が参加し、インタビュー調査やFGDに基づく暫定的な結果について報告が行われました。その中で、川口研究員は5月24日にアジュマニ県のウガンダ大統領府事務所でのフィードバック会合に参加し、関係者と今後のアクションについて意見交換を行いました。特に、若年層のエンパワーメント、GBV被害者の精神的ケアと医療ケアの連携、そして早期回復に向けた生活手段のサポートの重要性について話し合いました。

また、川口研究員は、5月29日に連携機関であるマケレレ大学の女性学・ジェンダー研究科でも調査結果を発表しました。サラ・サリ研究科長の紹介の下、教員、大学院生などが出席し、難民キャンプや難民受け入れ先コミュニティーでのGBV問題に関する研究について、積極的な議論が展開されました。

さらに、GBV問題に取り組むさまざまな国連機関に対して、フィールド調査の結果についてフィードバックを行いました。例えば国連女性機関(UN Women)のカンパラ事務所では、各難民居住区で導入されているGBV被害者支援のためのリファラル(紹介)サービスと、難民が想定するGBV被害後の救援要請先との間にはギャップが存在することなどを議論しました。また、現地の国連機関がまとめている「ウガンダの難民支援における透明性と説明責任の促進強化に関する共同行動計画(the Joint Plan for Action on Promoting Transparency and Accountability in Uganda’s Refugee Response)」に対して、川口研究員らがフィールド調査で使った質問シートなどのツールを共有しました。この行動計画のビジョン3には、女性、子ども、弱者の保護の強化が掲げられており、そのための対策やサービスについて国連機関が共同で評価を行う際にこの調査の知見が活用される予定です。

アジュマニ県のウガンダ大統領府事務所で開催されたフィードバック会合

(左から) マケレレ大学の女性学・ジェンダー研究科のSarah Ssali研究科長、JICA研究所の川口智恵研究員、マケレレ大学のRonald Kalyango講師

本研究の最終的な成果は、JICA研究所のフィールドレポートやワーキングペーパーとして発表される予定です。本研究の詳しい進捗は、関連情報のリンクからご覧になれます。

関連資料(研究紹介パンフレット)

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