開発途上国の大学教員の海外留学が母国の発展に与えたインパクトとは?研究の本格的実施に向けタイで意見交換

2019.01.17

2018年11月30日、JICA研究所の研究プロジェクト「途上国における海外留学のインパクトに関する実証研究—アセアンの主要大学の教員の海外留学経験をもとに—」の関係者会合をタイのバンコクで実施しました。

同研究は、JICA研究所の黒田一雄客員研究員(早稲田大学教授)、JICA研究所の杉村美紀客員研究員(上智大学教授)、東京大学の北村友人准教授など、日本の教育開発の研究者が参加し、開発途上国の大学教員の留学経験が母国の大学の発展にもたらしたインパクトを分析することを目指しています。データ収集の一環として、カンボジア、インドネシア、マレーシア、ベトナムの計10大学の全教員、総勢1万人以上を対象にしたウェブ上での質問紙調査のほか、国や大学ごとに留学事情の変遷の調査、留学経験のある教員へのインタビューを行う予定です。これらの量的・質的な分析を通じて、大学の発展に主眼を置きつつ、留学した教員の送り出し国や受け入れ国との二国間関係に与えたインパクトの検証を試みます。

日本および調査対象4カ国から集まった研究者たち

今回の会合は、日本および調査対象4カ国から研究プロジェクトに参加する研究者のほぼ全員が集まった初の機会。まず、JICA研究所の萱島信子主席研究員や辻本温史リサーチオフィサー、JICA人間開発部高等・技術教育チームの梅宮直樹課長が、研究概要や今後の調査の進め方、日本側で作成した質問紙の案について説明しました。

それを受けて、特に質問紙調査の狙いや内容、調査の具体的な実施方法などについて、各国の高等教育研究者や大学関係者と幅広く意見交換を行いました。途上国から先進国への留学のインパクトを分析した研究が少ない中、それを実証する貴重な研究となることから、特に質問紙に対する各国の関心は高く、できるだけ高い回収率で回答を得るための方策や質問項目の過不足を議論。参加者からは「個人、組織、社会のどのレベルについて問う質問なのか、整理したほうがよいのではないか」といった具体的な意見も挙がりました。

この会合に先立ち、11月28日には国連教育科学文化機関(ユネスコ)・バンコク事務所と東京大学による「Third Stakeholders’ Meeting on Indicators for Internationalization of Higher Education in Asia and Pacific(高等教育の国際化指標に関するアジア・太平洋ステークホルダー会議)」がバンコクで開催され、セッションに登壇した萱島主席研究員が同研究プロジェクトについて発表しました。

今後も、ユネスコや海外の研究者などと情報交換しながら同研究を進め、その成果を書籍にまとめる予定です。

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