JICA緒方研究所

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T20インセプション会合でタスクフォースの議論を共有—大野研究所長ら

2019年1月10日

タスクフォースごとの分科会が行われ、ADBIで各分野における課題などが報告された

2018年12月5日、「T20 Japan 2019」のインセプション会合のタスクフォース分科会が、前日に引き続き開催されました。

Think 20(T20)は、G20のエンゲージメント・グループの一つであり、世界中のシンクタンクが政策課題について議論し、G20に対して政策提言を行うものです。2019年6月に日本で開催されるT20に向けて、10の政策分野でタスクフォースが立ち上げられ、G20に対する政策提言書(コミュニケ)に盛り込むべきポリシーブリーフをまとめていきます。JICA研究所は、タスクフォース1「2030アジェンダ(SDGs)」と、タスクフォース5「アフリカとの協力」の共同議長を務めます。

会合2日目となった5日は、タスクフォースごとの分科会が行われ、政策提言の方向性や実施体制、スケジュールなどについて議論しました。その後、アジア開発銀行研究所(ADBI)で、各タスクフォースで検討されたポリシーブリーフの作成方針が共有されました。

タスクフォース1の共同議長として発表したJICA研究所の大野泉研究所長

JICA研究所の大野泉研究所長は、タスクフォース1の共同議長として、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」、「教育」、「国際金融ガバナンス」、「民間セクターの役割」、「ジェンダー」の5つに加え、SDGsを達成するための「テクノロジー」の重要性についても議論を行っていくことを報告しました。

大野研究所長は各分野について、「UHC」に関しては、日本にとっても重要なこの課題をG20の目標を踏まえてどのように達成していくか、今後も検討していくと説明しました。「教育」に関しては、これまでの進捗を確認した上で、教育の質の改善、社会情緒的スキル、初等教育、理系教育、女子教育の5つが論点となったと報告しました。また、「国際金融ガバナンス」に関しては、持続可能なファイナンスの促進に向けた官民の役割、開発金融について情報共有するグローバルなメカニズム、国際公共財のためのファンドについて話し合われたことを紹介しました。

さらに、「民間セクターの役割」については、まずSDGs達成におけるビジネスの影響の重要性を確認した上で、企業のSDGs認知度を高め、どう具体的なアクションへつなげるか、全てのステークホルダーのマインドセットをどう転換させていくか、さらに開発途上国の企業のグローバル・バリュー・チェーンへの参加をどう支援すべきか、といった課題が議論されたことを報告。「企業が持続可能なサプライチェーン・マネジメントに目を向けるためのインセンティブの供与、企業・政府・市民の互恵的パートナーシップの構築が必要」と述べました。

最後に「ジェンダー」については、横断的な課題であり、企業や行政のガバナンスをモニタリングしていく必要性、W20(女性)やC20(市民社会)といったエンゲージメント・グループや他のタスクフォースと協働する重要性を指摘しました。

一方、タスクフォース5「アフリカとの協力」については、共同議長を務める南アフリカ国際問題研究所のエリザベス・シドロポロス所長が発言しました。「このタスクフォースは、唯一、地域を限定しているが、他のタスクフォースの課題と共通する課題も多いことから、知見の交換が重要」と指摘しました。その上で、「財政の安定性と債務の持続性」、「アフリカとのコンパクト(Compact with Africa)の推進(ドイツのG20より始まった民間セクターとの協働やアフリカでの投資を促すイニシアチブ)」、「産業発展とICT」、「農業開発」、「ガバナンスの社会への影響」、「デジタル化するアフリカにおける税制」、「保健」をテーマとして、ポリシーブリーフを作成していくと報告しました。

今後、各タスクフォースは2019年3月までにポリシーブリーフを取りまとめ、同年5月末にはG20に対するT20としての政策提言書(コミュニケ)を提出する予定です。

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