CIES2019で「途上国における海外留学のインパクトに関する実証研究」の進捗を発表—萱島主席研究員ら

2019.05.08

全世界の教育分野の研究者・実務家・政策立案者などが集う比較国際教育学会「Comparative & International Education Society(CIES) 2019」が、2019年4月14日から18日までの5日間にわたり、米国サンフランシスコで開催されました。各国から約3,500人が参加し、行われたセッションは500以上。中でも、世界的に注目を浴びている高等教育分野のセッションが最多の43、また、留学に特化したセッションも18に及びました。

JICA研究所では、開発途上国の大学教員の留学経験が母国の大学の発展にもたらしたインパクトを分析する研究プロジェクト「途上国における海外留学のインパクトに関する実証研究−アセアンの主要大学の教員の海外留学経験をもとに−」を実施中です。4月16日に同研究のパネルセッションを行い、JICA研究所の黒田一雄客員研究員が議長を務め、JICA研究所の研究者らが本研究について発表しました。

萱島信子主席研究員は、アセアン各国からの海外留学の現状と同研究の概要を説明。そのうえで、研究分担者である共立女子大学の浅田サラ専任講師と首都大学東京の嶋内佐絵准教授が、これまで海外留学のインパクトについてどのような研究が行われてきたのかについて発表しました。また、インドネシアにおける事例として、JICA研究所の田口晋平職員とJICA人間開発部高等教育・社会保障グループの梅宮直樹課長がそれぞれ、海外留学のための奨学金制度の概観、バンドン工科大学の教員の留学先の推移などについて報告。辻本温史リサーチオフィサーは、カンボジア・インドネシア・マレーシア・ベトナムにおける現地調査の結果から、個人レベル・組織レベル・社会レベルおよび二国間関係に分類した留学のインパクトなどについて発表しました。

議長を務めた黒田一雄客員研究員(左奥)と会場からの質問に回答する萱島信子主席研究員(右奥)

質疑応答では、本研究の最終的な目的は何かという問いに、萱島主席研究員が、教員の留学が教員の意識に及ぼすインパクトと、教員の留学が教員の所属する大学の発展に及ぼすインパクトの2点を明らかにすることと回答。これらに基づいて政策提言を行うことを目指すと述べるなど、本セッションに参加した約20人の有識者と活発な意見交換を行いました。

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