ブラジルでのグローバル・シンクタンク・サミットで課題解決への“Glocal”なアプローチの重要性を強調—大野研究所長

2019.12.23

2019年12月11~13日、ブラジルのリオデジャネイロで、グローバル・シンクタンク・サミット(Global Think Tank Summit: GTTS)2019が開催され、JICA研究所の大野泉研究所長が参加しました。

GTTSは、米国ペンシルバニア大学ローダー研究所の「シンクタンクと市民社会プログラム(Think Tanks and Civil Societies Program: TTCSP)のジェームズ・マクガン教授のイニシアチブにより、2014年から開催されている世界中のシンクタンクが集う年次会合。JICA研究所は2016年から参加しています。今年は「Managing Global Turbulence and Transitions: The Role of Think Tanks(世界の激動と変化に対応して:シンクタンクの役割)」をテーマに掲げ、6つの全体会合と 5つの分科会が行われました。

世界の激動と変化に対応したシンクタンクの役割をテーマに議論

大野研究所長は、11日に開催された公開セッション「Managing Global Turbulence and Transitions: National, Regional and Global Perspectives(世界の激動と変化に対応して:国、地域、グローバルな視点)」に、ブラジル、アルゼンチン、イタリア、ケニア、ポーランド、米国のシンクタンクの代表とともに登壇。登壇者からは、各国が直面する政治・経済・社会問題や、共通の課題である技術革新のスピードへの対応能力の問題について紹介があり、シンクタンクが政策立案者や一般市民に対し、さまざまな問題への理解をどのように促しているかについて意見交換しました。

大野研究所長は、開発途上国の現場で開発協力を実施するJICAの研究所としてのユニークな役割を述べつつ、「現在、世界で起きているさまざまな問題の多くは開発課題と関連がある。不安定な時代だからこそ、貧困、不平等、紛争、失業、中所得国の罠など、国・地域ごとの開発課題に根差した解決方法が重要で、グローバルな視点を持ちながらローカルに行動すべき(Glocal)」と強調しました。

また、人間の安全保障を基盤とし、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)達成に貢献すべきとして、JICA研究所の研究プロジェクト「持続的な平和に向けた国際協力の再検討:状況適応型の平和構築とは何か」や「持続可能な開発目標(SDGs)の中心課題『誰一人取り残さない(Leave No One Behind)』に関するブルッキングス研究所との共同研究」を紹介。さらに、デジタル革命といった世界が直面する新たな課題については、各国の産業発展段階や人口動態などを考慮して、その可能性とリスクを検討し、具体的に対応策を考えることが重要と指摘しました。

JICA研究所の大野泉研究所長(右)は、「グローバルな視点を持ちながらローカルに行動すべき」と強調

今後も、JICA研究所が蓄積してきた知見・経験を大切にしながら、グローバルな知的ネットワーキングに積極的に参加していきます。

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