JICA緒方研究所

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スポーツを通した平和構築を目指して—ヨルダンで知見を共有する会合を開催

2020年2月26日

ヨルダンでの難民のためのスポーツ支援に携わるさまざまな組織が参加

2020年2月12日、JICA研究所の研究プロジェクト「スポーツと平和に関する研究」の一環として、「Sport for Refugees in Jordan: Programs, Challenges and Prospects」と題した会合をヨルダンの首都アンマンで開催しました。

同研究プロジェクトでは、「スポーツを通じた平和と開発」からの視点を踏まえ、JICAのスポーツ支援に関連した多様な関係者(競技者、観客、政府関係者)間や、民族間、民族と国家との信頼関係といった社会関係資本に着目することで、これまで十分に行われてこなかったスポーツを通じた開発協力の効果の実態を明らかにすることを目的にしています。研究代表を務める静岡県立大学の古川光明教授が南スーダンとタンザニアを、JICAのズバイドロ・ウバイドゥロエフ主任研究員がヨルダンを対象に研究を進めています。

今回の会合は、ヨルダンと中東における難民のためのスポーツ支援の知見を共有し、スポーツを通じた平和構築の推進を目的として、ヨルダンに本拠地を置くNGOであるGenerations For Peace(GFP)と協力して実施されました。ヨルダンオリンピック委員会をはじめとするスポーツ関連機関や、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連児童基金(UNICEF)などの国連機関、開発援助機関、大学、NGOなど、ヨルダンにおける難民のためのスポーツ支援に携わるさまざまな組織から約60人が出席しました。

総合司会やモデレーターを務めたJICAのズバイドロ・ウバイドゥロエフ主任研究員(左端)

JICAヨルダン事務所の宮原千絵所長の開会のあいさつに続き、総合司会を務めたウバイドゥロエフ主任研究員が同研究プロジェクトの概要を説明しました。ウバイドゥロエフ主任研究員は、JICAが1960年代から青年海外協力隊の活動などを通じて積極的にスポーツによる平和構築に貢献してきたことや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた「Sports for Tomorrow」プログラムのもと、体育の普及や難民・障害者・女性の支援、選手の育成、競技スポーツへの貢献などに取り組んでいることも紹介しました。

続いてGFPのマーク・クラーク代表が基調講演を行いました。GFPは、2007年にヨルダンのファイサル・アルフセイン王子によって設立された平和構築を専門とするNGO。子ども、若者、大人を対象に、スポーツやアートなどさまざまな活動を通じて、啓蒙・対話・エンパワメントを行っていることなどを発表。特に、スポーツを出発点にして他者への理解や協調性、信頼など、新たな考え方が育まれ、人々の行動が変化していくことが平和構築につながることを強調しました。

閉会のあいさつに立った静岡県立大学の古川光明教授

その後のセッション1では、古川教授がモデレーターを務め、UNHCR、UNICEF、ドイツ国際協力公社(GIZ)がそれぞれの支援活動について紹介し、主な課題や成果などを共有しました。そのほかにも4つのセッションが行われ、「難民とホスト住民の団結と共存のためのスポーツ」や「難民の戦争トラウマからの回復に向けたスポーツ」、「難民の教育と自己開発のためのスポーツ」などをテーマに議論が行われました。

閉会のあいさつに立った古川教授は、本会合で実に多くのスポーツを通じた平和と開発にかかるプロジェクトがヨルダンで実施されていることが示されたとし、JICAはまだ多くのスポーツに関するプロジェクトを実施していないものの、JICA南スーダン事務所長時代に「国民結束の日」と冠した全国スポーツ大会を通じて国民の結束と融和を支援した経験を振り返りながら、「スポーツには開発と平和を促進する潜在的な大きな力がある」と述べて会合を締めくくりました。

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