感染予防行動とソーシャルメディアの関連とは?駒澤研究員が2021年日本ヘルスプロモーション学会で発表

2021.12.28

2021年12月4、5日の2日間、日本ヘルスプロモーション学会第18回学術大会(主催:順天堂大学)が「ヘルスプロモーションの原点回帰~原点に立ち戻り未来の持続可能な社会を考える~」をメインテーマとして開催されました。JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)からは駒澤牧子研究員が参加し、「COVID-19感染予防行動とソーシャルメディア:ケニア都市住民調査による分析」と題して発表しました。これはJICA緒方研究所が実施中の研究「COVID-19研究:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジと強靭な社会に向けて」の一環です。

過去数十年にわたり、アフリカの保健分野では人々の行動変容コミュニケーション(Behavior Change Communication: BCC)推進ツールとして、ラジオ・TVなどのマスメディアが広く活用されてきました。しかし近年、インターネットやソーシャルメディアが急速に普及していることから、BCCへの活用が進められています。そこで駒澤研究員は、JICA社会基盤部が2020年11月に実施したケニアの都市住民調査のデータ(1,662人)を用い、コロナ禍での公的機関への信頼、ソーシャルメディア利用と感染予防行動との関連について二次分析を行いました。

その結果、1日1回以上インターネットを利用している人の割合は88%と高いことが分かりました。また、統計分析の結果、ソーシャルメディアのリテラシーが高い人は、コロナ禍において情報収集や情報交換を積極的に行うとともに、リモートワークやオンライン教育の環境が整っていることから、衛生行動(マスクの着用など)とフィジカル・ディスタンスの確保(外出控えや3密の回避など)の両方の感染予防行動を取る可能性が高いことが示唆されました。他方、政府への信頼度と感染予防行動には関連が見られず、政府のリスクコミュニケーション(リスクに関して、関係者間で情報共有や意見交換を行うこと)には改善の余地があると指摘しました。駒澤研究員は、本研究結果から、感染予防行動の促進には政府のリスクコミュニケーションを強化するとともに、リスクコミュニケーションにおけるソーシャルメディアのさらなる有効な活用方法の開発が必要であると提言しました。

関連する研究者

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
トピックス一覧

RECOMMENDこの記事と同じタグのコンテンツ