これからの日本の産業政策支援の在り方とは?JICA緒方研究所の研究成果を基にGRIPS開発フォーラムで議論

2022.03.15

2022年2月22日、JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)は、GRIPS開発フォーラムとの連携企画「これからの途上国の産業開発を考える」の第8回勉強会「途上国への産業政策支援:工業化のための政策能力強化に向けて」をオンラインで開催しました。本勉強会では、JICA緒方研究所の研究プロジェクト「日本の産業開発と開発協力の経験に関する研究:翻訳的適応プロセスの分析」の研究成果として発刊された書籍『Policy Learning for Industrial Development and the Role of Development Cooperation(工業化のための政策学習と開発政策支援の役割)』の内容に基づいて発表がなされました。

書籍の共同編者である政策研究大学院大学(GRIPS)の大野泉教授(JICA緒方研究所シニア・リサーチ・アドバイザー)が書籍の概要について紹介した後、産業政策支援に関する章を執筆したJICA緒方研究所の細野昭雄シニア・リサーチ・アドバイザー、山口大学の天津邦明教授、GRIPSの大野健一教授、JICA緒方研究所の山田実上席研究員が登壇し、それぞれが考える産業政策支援の有効性や特徴について述べました。

大野泉教授は、日本が行ってきた産業政策支援の意義と特徴について、研究プロジェクトの成果を踏まえて報告しました。「大来レポート」(アルゼンチン)、「石川プロジェクト」(ベトナム)、エチオピア産業政策対話、「水谷プラン」(タイ)といった書籍で取り上げている複数の事例を俯瞰的に分析してみると、個別産業に着目することや、指導者層・政策担当者との対話、産業団体や研究機関などとの連携を通じて相手国と共同で発展の可能性を検討し、政策オプションを提示するアプローチをとっていることなどが日本型の産業政策支援の特徴として浮かび上がると指摘しました。

共同編者であるJICA緒方研究所の大野泉シニア・リサーチ・アドバイザーが書籍の概要を紹介

質疑応答では、「現在の開発途上国は、日本の経験だけでなく中国や台湾、韓国といった国々の事例にも関心があるのではないか」「日本型の産業政策支援の成果、インパクトの検証はされているのか」といった質問やコメントが寄せられ、今後の日本の産業政策支援の在り方について活発に議論が交わされました。

本勉強会の動画は、以下から視聴いただけます。

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第8回「これからの途上国の産業開発を考える」勉強会(GRIPS/政策研究大学院大学YouTube)

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