コロナパンデミック時におけるコミュニティのエンパワメントを議論:人間の安全保障学会1日目

2023.01.18

JICA緒方研究所の研究プロジェクト「東アジアにおける人間の安全保障とエンパワメントの実践」の研究メンバー3名が、「人間の安全保障学会(JAHSS)第12回研究大会」(2022年11月5,6日開催)の1日目で、「新型コロナウイルス感染症パンデミック時における脆弱なグループとコミュニティのエンパワメント: 東アジアからの考察」と題されたパネルディスカッションに参加しました。東北公益文化大学の東江日出郎氏が座長を務め、パンデミックの影響と同時に、人間の安全保障上のさまざまな不安にさらされる東アジアの異なる脆弱なグループについて議論されました。

パネルディスカッションの参加者ら

慶應義塾大学のヴ・レ・タオ・チ専任講師は、ベトナム・ホーチミン市の都市貧困層が政府による貧困削減の取り組みにもかかわらず、パンデミック以前およびその最中において、どのような厳しい状況に置かれているかを考察しました。チャールズ・ダーウィン大学のジョナタン・ラサ博士は、インドネシアの緊急キャンプや暫定避難所に住む人々を対象に、新型コロナウイルス感染症の影響と、2020年3月から2022年3月における内的・外的なパンデミックへの反応を調査しました。JICA 緒方研究所のリセット・ロビレス研究員は、2020年の熊本での豪雨災害後に球磨村の仮設住宅に移り住んだ被災者の間でのエンパワメントの醸成において、パンデミックと豪雨災害という複合的な危機がもたらした影響に関する調査について発表しました。

それぞれの発表の後、パネル討論者としてJICA緒方研究所の武藤亜子上席研究員が、ケーススタディごとに異なる文脈におけるエンパワメントの解釈、保護とエンパワメントのバランス、人間の安全保障を実現するためのステークホルダーの役割など、すべての発表者に共通する議論のポイントを提示しました。

今回のパネルディスカッションでは、人間の安全保障上のさまざまな不安がパンデミックによってどのように悪化したかというエビデンスが示されました。さらに、影響を受けた個人やコミュニティのエンパワメントの回復は、地域当事者のオーナーシップに基づいていたことも明らかになりました。

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