第37回日本国際保健医療学会学術大会で「COVID-19パンデミック下のウガンダにおけるコミュニティ・エンゲージメント」に関する研究について発表—齋藤主任研究員

2022.12.23

第37回日本国際保健医療学会学術大会が11月20日、愛知県立大学長久手キャンパスを会場に、オンラインとのハイブリット形式で開催され、JICA緒方研究所の齋藤聖子主任研究員が、「COVID-19パンデミック下のウガンダにおけるコミュニティ・エンゲージメント」に関する研究について発表を行いました。

齋藤聖子主任研究員による発表

この研究は、ウガンダでCOVID-19が流行した際、限られた資源と脆弱な保健システムの中で、コミュニティ・エンゲージメントがどのように機能したかを分析することが目的です。人々のコミュニティ・エンゲージメントに関する主観的評価について都市部のWakisoと農村部のNgoraに居住する住民を対象にデータを収集し、比較分析を行いました。

この比較分析では、次の3種類の指標を設定し、主観的評価を測定しました。 (1) リスク認知:「COVID-19への恐怖感」 (2)コミュニティ・エンゲージメント:「組織的支援に対する住民の評価」「個人的支援に対する住民の評価」「支援活動に対する住民自身の関与・貢献に関する自己評価」 (3) コミュニティ・キャパシティ:「自分が所属するコミュニティへの信頼感」「精神的、経済的支援の必要性に対する認識」。

その結果、農村部と比較してより多くの支援を受けた場合であっても、支援に対する都市部の満足度は農村部と同じでした。また、農村部では都市部よりもコミュニティへの信頼が高いことがわかりました。さらに、都市部よりも農村部の方が、コミュニティに所属している住民自身でCOVID-19の危機に対処するための意思決定を行い、実行できる能力が高く、レジリエンスが高いことが示唆されました。

発表後の質疑応答では、住民がコロナ禍で病院にアクセスできない中で、住民による自律的な健康行動の維持活動を分析し、その促進方法について検討することは今後の保健システムを考える上で重要であるなどのコメントがなされ、レジリエントな社会について活発な議論が交わされました。

関連する研究者

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
トピックス一覧

RECOMMENDこの記事と同じタグのコンテンツ