バングラデシュで大国との二国間関係に影響を及ぼす要因について情報収集-高原所長ら

2023.01.19

JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)の高原明生研究所長、麻田玲研究員、今井夏子リサーチ・オフィサー、志賀裕朗客員研究員(横浜国立大学教授)が、研究プロジェクト「インド太平洋の平和と開発の新ダイナミクス-途上国の中国への対処-」の一環で、2022年8月21日から28日にかけてバングラデシュとタイに出張しました。バングラデシュの関係省庁、シンクタンク、メディア、在バングラデシュの日本大使館やインド大使館、インド太平洋地域を管轄するタイのUSAID地域事務所との面談を通じて、JICAのパートナー国でもあるバングラデシュが、昨今の大国間政治や国際協力の機会をどのように捉え行動しようとしているのかという点について情報収集を行いました。また、日本や中国による国際協力の事業サイトを視察したほか、高原研究所長は、ダッカ大学で開催されたJICAチェアで特別講義を行いました。

バングラデシュ財務省経済関係局モハメド・シャフリアー・カデール・シディキー次官補との面談 (2022年8月23日)。

この研究は、中国の台頭に伴い、地政学的重要性を高めるインド太平洋諸国の外交政策における自律性に焦点を当て、インド太平洋諸国と中国との二国間関係に影響を及ぼす国内的・国際的要因を明らかにすることを目的としています。事例国は、フィリピン、ラオス、スリランカ、バングラデシュ、ウズベキスタン、セルビア、ザンビアの7ヵ国です。

バングラデシュは1971年の建国以来、伝統的に非同盟・全方位外交を外交方針としています。しかし、独立当初の「全方位外交」は、自律性に基づいたものというより、地政学的な制約や国力の弱さから、そうせざるを得なかったという側面がありました。

近年の順調な経済発展や国際環境の変化に伴い、同国ではどのような要因が作用して大国との二国間関係が構築されているのかを明らかにするため、本研究が開発した分析枠組みを用いて調査を行いました。

今回の調査を通して、今日のバングラデシュは、自らの地政学的な地位や、自国をめぐる大国間の対立が存在することを認識した上で、インフラ建設、投資の誘致、軍備の増強といった自国の優先課題に応じて、必要な大国をパートナーとして主体的に選んでいることが明らかとなりました。分析結果は今後論文としてまとめられ、来年度に発刊される予定です。

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