JICA緒方研究所

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「日本は三角協力のパイオニア」、細野上席研究員がソウルの会合で発表

2010年12月10日

「第4回ソウルODA国際会議」(主催:韓国外交通商省、韓国国際協力事業団=KOICA)と「国際援助アーキテクチャーに関するワークショップ」(主催:韓国外交通商省、後援:日本外務省)がそれぞれ2010年11月29日と11月30日~12月1日、韓国ソウルで開かれました。いずれも、「援助効果に関するパリ宣言」後(脚注)の国際援助の枠組みの策定を目指す、来年のプサンHLF(ハイレベルフォーラム)4の準備会合と位置付けられるものです。JICA研究所からは、恒川惠市所長、細野昭雄上席研究員、室谷龍太郎リサ-チ・アソシエイトの3人が参加しました。

 

Seoul_ODA_conference.JPGODA会議で冒頭あいさつに立った恒川所長は、(2015年をターゲット年とする貧困や教育について定める)ミレニアム開発目標(MDGs)は、その達成だけでなく、それを持続させ、より高度の発展につなげていくことが重要であり、プサンHLF4では、新たな援助枠組みについて合意する必要があると力説しました。また、細野上席研究員は、会議では「開発の効率に向けたキャパシティー・ディベロプメント(CD)」、ワークショップでは「南南協力を通じた知識交流」のテーマで研究発表し、議論の流れをリードしました。

 

JICA研究所はかねてから、CDはMDGsの達成・維持に不可欠な要素であるとして、援助の議論の中でCDを主流化すべきと考えています。今回の研究発表でも細野上席研究員は、インドネシア南スラウェシでの住民参加型の村落開発、アフリカ・ニジェールの「みんなの学校プロジェクト」、エンジニアを地方に送り込み、現地のニーズを吸い上げようとするバングラデシュのインフラ整備など、CDを内包するJICAプロジェクトを紹介し、CDの重要性をアピールしました。

 

細野上席研究員は、途上国でのCDプロセスを強化するためのファクターとして「関係者のオーナーシップを高める」「プロセスを継続できるようにするための仕組みを作る」「同じ時間や経験を共有することで、関係者が相互理解を深め、問題解決に向けて取り組む」「好事例をスケールアップさせるための道筋を作る」「ドナーがCDプロセスをしっかりサポートする」の5点を挙げています。

 

また同上席研究員は、国際援助アーキテクチャーに関するワークショップの「南南協力」のセッションでも、南南協力を通じた知識交流について研究成果をプレゼンテーションしました。この中で「欧米の既存ドナーは、(途上国が別の途上国を援助する)南南協力を『新しいアプローチ』と言っているが、日本は1975年から進めてきた。35年余りの経験を踏まえ、現在も推進している」と強調しました。

 

その一例として挙げたのが、南南協力を後押しするJICAの「第三国研修」制度です。これは、被援助国の研修生を日本以外の途上国に招聘し、新興ドナーの担当者も教師役となって援助する仕組みです。JICAは、これを三角協力(南南協力の一種で、他の比較的進んだ途上国と共同で援助する)の一環として力を入れています。第三国研修の受講者数は75年度から一貫して右上がりで、08年度だけでも4,000人に達しています。このような実績は欧米諸国にはほとんど見られません。

 

南南協力の事例として有名なのは、日本、ブラジル、モザンビークの3カ国による農業開発です。ブラジル政府はJICAとともに、同国中部の熱帯サバンナ(セラード)の農業開発を推進してきた歴史があります。不毛なセラードがこうした支援により、大豆をはじめとする農産物の一大生産地へと変ぼうを遂げました。


この経験をベースに、今度はブラジルがドナーとなって、日本とともに、モザンビークの熱帯サバンナの農業開発「プロ・サバンナ」への協力を始めたところです。

 

ブラジルとモザンビークはともに旧ポルトガル植民地で、ポルトガル語を公用語としています。自然環境にも共通点があります。このため、日本が単独でモザンビークを援助するより、類似の点の多いブラジルと協力したほうが、より効果的な成果が期待できます。

 

細野上席研究員は「パリ宣言では南南協力は(先進国が途上国を援助する)南北協力を補完する位置付けとなっている。しかしこれにはさまざまな議論があり、新興ドナーからの批判もある。CDを中心とした南南協力は、協力形態の多様化に貢献し、新たなイノベーションが生まれる可能性も増大する」と、南南協力・三角協力の強みを重視しています。

 

(脚注)「パリ宣言」は、05年にフランス・パリで開催された「第2回援助効果向上に関するハイレベルフォーラム」で採択されたもので、援助効果の向上に必要な措置として、被援助国と援助国が履行すべき具体的措置を示している。

日時2010年11月29日(月) ~ 2010年12月 1日(水)
場所韓国 ソウル
主催者韓国外交通商省、韓国国際協力事業団=KOIC後援:日本外務省



開催情報

開催日時2010年11月29日(月)~2010年12月 1日(水)
開催場所韓国 ソウル

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