JICA緒方研究所

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JICA研究所とIPDの共同研究の書籍出版を記念したシンポジウムを国連にて開催

2012年4月24日

『Good Growth and Governance in Africa: Rethinking Development Strategies』オックスフォード大学出版局

『Good Growth and Governance in
Africa: Rethinking Development
Strategies』 オックスフォード大学出版局

4月9日、JICA研究所とコロンビア大学のジョセフ・E・スティグリッツ教授が主宰するIPDとの共同研究の成果として出版された本の記念シンポジウムが国連本部で開催され、JICA研究所から細野昭雄所長と島田剛企画課長が出席しました。

 

書籍のタイトルは、「アフリカにおける良い成長とガバナンス:開発戦略の再考」(原名は、『Good Growth and Governance in Africa: Rethinking Development Strategies』で、オックスフォード大学出版局から刊行されており、今回のシンポジウムは、日本とベナンの国連代表部の共同で開催されました。

 

イベントの冒頭では、ベナンのジャン‐フランシス・ジンソウ国連大使および日本の西田恒夫国連大使より開会の挨拶があり、ベナン大使からは、日本のTICADを含めたアフリカ支援に対する感謝の辞が述べられ、西田大使は、日本のTICAD取組みの成果(援助倍増)や今後の方向性について言及し、今回のイベントがアフリカ支援の一助になることを期待すると締めくくりました。

 

シンポジウムには、タンザニア、エチオピア、ガボン、カメルーン等の国連大使をはじめとした約150名の参加で会場が満杯となり、出席者からの活発な討議が行われ、予定の時間を超過しての議論が繰り広げられました。

 

この会合のモデレーターを務めたシェイク・シディ・ディアラ国連事務次長(アフリカ担当特別顧問)からは、本で論じられている知的な取り組みがアフリカの貧困削減に益することを期待すると述べた上で4名のパネリストを紹介しました。IPDのアクバル・ノーマン教授、JICA研究所の細野昭雄所長、ACET(アフリカ経済トランスフォームセンター)のヤウ・アンス教授、そしてスティグリッツ教授は、それぞれアフリカ経済の現状、日本のアフリカへの援助、経済開発を再考する新しい議論、アフリカにおける新しいアプローチを選択する許容する必要性などについて発表しました。

 

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シンポジウムに出席する細野所長(右から2番目)

アクバル・ノーマン教授は、アフリカの現況に触れたうえでアフリカへの支援、直接投資などが真の意味で産業化につながっていないことを指摘し、「東アジアの奇跡」で扱ったような議論がアフリカに有益だと考えていると述べています。

 

二人目のパネリストであるヤウ・アンス教授の論点は、経済政策の議論の場にもう一度国家を戻す必要性を説き、経済を変容することのできるリーダーが今のアフリカに求められていることを強調しました。

 

本の編集者の一人であるスティグリッツ教授は、今回の共同研究について言及し、エチオピアのメレス首相をはじめとした国家の政策決定者や研究者、また援助関係者といった幅広い分野の人材を巻き込んだ異例の研究成果であると説明しました。また、東アジアの成長の本質は「学習する」ことにあり、東アジアの特徴である「共有された成長」は、他国の成長経験と異なっており日本が東アジアの成長全体に大きなインパクトを与えたことに触れ、東アジアの開発において政府が極めて重要な役割を果たしたことを指摘しました。

 

JICA研究所の細野昭雄所長は、2008年に行われた3つのイベントであるTICAD IV、G8洞爺湖サミット、そしてエチオピアでのIPDアフリカ・タスクフォース会議について最初に言及し、これらの会合がこの本の発端になっていることを説明しました。その上で、JICA産業開発・公共政策部によるエチオピアにおける産業政策対話及び「カイゼン」による中小企業支援の取り組みの成果についても紹介しました。

 

今回のシンポジウムにおいて、モデレーターのディアラ国連事務次長(アフリカ担当特別顧問)をはじめとする多くのアフリカ諸国の参加者から、JICA研究所のアフリカへの貢献に対する謝辞が述べられました。

 

細野昭雄所長は、今回のシンポジウムに出席するこの機会にUNDPを訪問し、「南南協力」についての内部セミナーを行いました。UNDPからは、南南協力スペシャルユニットのイーピン・ゾウ局長およびパートナーシップ局長のシグリッド・カーグ氏の両名が出席し、抽象論になりがちなこのテーマについて細野所長は具体的な事例を紹介しながらいかに協力を進めていくべきかについて発表しました。

JICAホームページ
  アジアの経験をアフリカに -ノーベル経済学賞受賞者スティグリッツ教授との共同研究が書籍化-

開催情報

開催日時2012年4月 9日(月)
開催場所国連本部(ニューヨーク)

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