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市民工房「ファブラボ」(Fablab)の可能性:フィリピンを事例とした論文を掲載

2015年10月16日

国際開発の分野で、イノベーションやデジタル技術を取り入れたアプローチが注目を集めています。JICA研究所はこのたび、徳島泰氏(慶応大学SFC研究所研究員)に執筆を委託した論文、「"コンテキスチュアライズド・イノベーション"環境の構築による経済開発:フィリピン共和国ボホール州における『FabLabを用いたイノベーション環境構築による貧困削減プロジェクト』による事例研究」を公開しました。

 

3Dプリンタで作られた地元業者向けの石けんの型
3Dプリンタで作られた
地元業者向けの石けんの型

論文を執筆した徳島泰氏は、フィリピン・ボホール島において、JICA青年海外協力隊員として、現地でFablabの企画から立ち上げまで2年4カ月間、プロジェクトリーダーとしてかかわりました。

 

Fablabとは、市民が自由に使える3Dプリンターやレーザーカッターなどの工作機械とネット環境を備え、世界の英知を学びつつ、地域や個人の課題を解決するものづくりを目指す施設であり、コミュニティ活動の場です。論文は、地元の中小零細企業群が、現地に開設されたFablabのデジタルファブリケーション機器を用いて新しいイノベーションを発現させていることなどを指摘。これまで主に大都市で活用されてきたイノベーションによる経済開発が、開発途上国の農村部の地域開発や貧困削減に広がっていく可能性が明らかなったとしています。

 

フィリピンでFablabの説明をする徳島氏
フィリピンでFablabの説明をする徳島氏

イノベーションやデジタル技術と開発に関しては、世界銀行が2016年度版世界開発報告書(WDR:World Development Repot)のテーマを「Digital Dividends(デジタル化の恩恵)」とするなど、関心が高まっています。JICA研究所では本論文を関係する援助機関などと共有し、開発におけるデジタル技術のイノベーションの可能性を考える契機を提供していきます。

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刊行物のページ「"コンテキスチュアライズド・イノベーション"環境の構築による経済開発:フィリピン共和国ボホール州における『FabLabを用いたイノベーション環境構築による貧困削減プロジェクト』による事例研究」


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