JICA緒方研究所

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古川光明上席研究員ら、ウガンダの財政支援の実態をヒアリング調査

2011年10月14日

古川光明上席研究員と高畑純一郎リサ-チ・アソシエイト(RA)は8月31日~9月16日、JICA研究所の研究プロジェクト「開発援助レジームにおける財政支援の意義と限界」の一環として、いち早く「財政支援」(被援助国の一般会計に直接資金を拠出する)が導入されたウガンダで、自治体レベルのお金の使われ方はどうなのか調査する目的で、首都カンパラ、ンバララ、マサカ、ジンジャ、グルの5カ所(中央政府と4つの自治体)を訪問しました。政府関係者をはじめ、ドナーやNGOなどの関係者をヒアリングし、情報収集しました。

研究プロジェクトのなかで古川上席研究員らはこれまで、マクロレベルでの財政支援が各国政府の予算構成にどのような影響を与えるのか、また財政支援の有無で政府支出の指標がどう変化するのかを考察してきました。今回のヒアリング調査について古川上席研究員は「財政支援が公共サービスとなって実際に社会に供与されるまでの流れを把握したい。そのためには、途上国の自治体レベルでのお金の使われ方がどうなっているのかを調査する必要がある。財政支援がいち早く導入されたウガンダとタンザニアを比較しながら、実態を明らかにすることが狙い」と話します。

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   ウガンダ建設交通省でウガンダの地理について説明を受ける古川研究員
ヒアリング調査を含むこれまでの研究で、財政支援の導入による「プラス面」と「マイナス面」が浮き彫りとなってきました。プラス面として古川上席研究員が指摘するのは「援助効果の向上に対する認識やその取組が一般財政支援が導入される中で改善されたこと」と「具体的にはドナーと被援助国の間の政策対話を通じ、被援助国の方針策定に寄与しており、中央政府の行財政管理能力の向上につながっていること」の2つです。この理由について古川上席研究員は「一般財政支援を通じて政府とドナーが一体となって政策協議が推進され、これまで個別対応ではできなかった改革へとつながった」と分析します。これ以外のプラス面として、財政支援によって地方自治体の予算自体が増えている可能性があること、地方自治体のオーナーシップが向上することなどがあります。

マイナス面では、「ステークホルダー(財務計画経済開発省、管轄省庁、地方自治体、ドナーなど)間の認識がずれていること」や「計画・予算策定→実施→モニタリング→評価→計画・予算策定といったサイクルが効率的に機能していない可能性があること」などが挙げられます。 マイナス面を引き起こす要因について古川上席研究員は「ウガンダでは予算の執行制度が硬直的で、分野をまたいで資金を使えないうえ、予算編成上の構造的な問題点を抱えている。加えて深刻な人員不足がある」と考えています。

今後の研究の方向として古川上席研究員らは、今回入手したデータに基づき、実証ベースで検証していく予定です。具体的には①財政支援で中央政府に資金を与えることで、国家全体で計画的に効率良く政策を実施できるのか②一般財政支援を含めた中央からの資金移転が地方自治体の予算進捗率にどのように影響を与えているか③地方自治体レベルで予算を効率的に執行できる体制が整っているのか——などが検証課題となっています。

 

ムービー・コメンタリー

古川光明 JICA研究所上席研究員

日時2011年8月31日(水) ~ 2011年9月16日(金)
場所ウガンダ

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