JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.32 Gacaca and DDR: The Disputable Record of State-Building in Rwanda

長期的な紛争や貧困に象徴される国家の脆弱性を克服するために、国家建設はきわめて重要な役割を担う。長期的な平和のためには、国家建設の過程で、国家の能力とともに国民から見た国家の正当性を高めねばならない。能力開発だけでなく正当性の構築が求められるのは、国家建設の中核をなす治安部門改革(SSR)についても同様である。こうした認識は、今日の国際社会の共通理解であり、規範をなしている。しかし、紛争経験国において、こうした規範に沿って国家建設やSSR が展開することは稀である。本稿では、1990 年代に深刻な内戦を経験したルワンダを事例として、規範と実態の乖離について検討する。ジェノサイドの容疑者を裁く移行期正義のガチャチャと、動員解除・再統合プログラムをSSRの代表例として分析すると、政府の掲げた目標はほぼ達成されたものの、それが国家の正当性の強化に繋がったとは見なしがたい。ルワンダのSSR は、紛争後に政権を握った勢力が主導する国家建設に資する限りでのみ実施されたといえる。

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