JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.136 The Continuum of Humanitarian Crises Management: Multiple Approaches and the Challenge of Convergence

1991年の国連総会決議において「救援、復興および開発の連続的実施(以下、コンティニュアム(continuum)と呼ぶ)」の重要性が指摘されて以来、人道危機への対応として、「救援(relief)だけでは不十分」との認識は国際社会で広く共有されている。しかし現実には、コンティニュアムの実現は容易ではない。その原因の一つは、コンティニュアム概念の不明瞭さ、共通理解の欠如にあると考えられる。本研究ではこの認識にもとづき、人道危機において一般的に議論されてきたコンティニュアム概念とアプローチを、自然災害に対する防災と紛争に対する平和構築とを比較し、それぞれの特徴と課題を整理した。

その結果、これら三つのコンティニュアム概念には、アクターを意識したものと推移するフェーズを意識したものとの二つの考え方が並列して存在していること、人道危機対応のプロセスは連続的(linear)に移行するという認識がアクターの活動に強く反映されていること、既存のコンティニュアム概念では予防が明確に位置づけられていないことが明らかとなった。そこで本研究では、これらを補完し、あらゆる危機に共通するコンティニュアムの理念型として、多層的活動モデル(multi-layered activities model)を提示した。その上で、このモデルの長所や短所についても検討した。またコンティニュアムの実現には、アクター間、もしくはアクター内連携だけでは十分でなく、被災地と被災者を中心に据えることが最も重要であることが確認された。

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