No.207 Heterogeneous Effects of Urban Public Transportation on Employment by Gender: Evidence from the Delhi Metro

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開発途上国では、伝統的に女性の移動が制約されていることがあるが、デリー・メトロはそうした開発途上国における都市の大量輸送インフラの代表例の一つである。

本論文では、デリー・メトロが女性と男性の労働参加率に与える効果を、三期間 (1991、2001、2011 年)のデリー市内の町レベルの区域パネルデータを用いて分析する。このデータでは個々の住民の特性を詳細に理解するには限界があるものの、区域ごとの固定効果を制御した上で差の差推定法を用い、平行トレンド仮定も検定する。推計結果としてはデリー・メトロの駅に近い区域ほど女性の労働参加率が有意に増加する一方、男性の労働参加率への影響は曖昧で、反対の符号をもつ可能性があることを示した。複数のメカニズムがこの結果を説明し得ると考えられるものの、理論的な都市通勤モデルを用いて、女性の通勤コストが男性に比して大幅に減少する場合(例えばより安全な通勤手段を提供する等)を検証したところ、実証的に定量化された傾向と同じ結果が得られることが確認された。

概して、本論文の結果は都市交通インフラが包摂的な成長と貧困削減に与える定量分析の一連の文献に関連すると考える。

キーワード: インド、ジェンダーギャップ、均衡通勤モデル

著者
関 麻衣、 山田 英嗣
発行年月
2020年3月
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #運輸交通
  • #ジェンダーと開発
  • #都市開発・地域開発
研究領域
経済成長と貧困削減
研究プロジェクト