jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

【今月の研究ピックアップ】開発途上国でのインフラ開発の効果とは?

2024.12.10

(写真:JICA/久野真一)

開発途上国において、交通や上下水道、電気、通信などのインフラの整備は、国や都市の成長にはもちろん、人々の生活向上のためには欠かせません。日本がさまざまな分野で実施している開発協力の中でも、インフラの整備は主要な事業のひとつです。

JICA緒方研究所では、JICAが実施しているインフラ整備事業を対象に、さまざまなデータを用いつつ、インフラ開発の社会的・経済的な効果の分析を進めています。また、開発途上国における財政面や環境面なども考慮に入れた、持続的なインフラ開発を可能にする要因や手法についても研究を進めています。こうしたインフラに関するさまざまな研究の一部をご紹介します。

【遠藤慶研究員コラム】開発途上国へのインフラ開発協力を考える

JICA緒方研究所の遠藤慶 研究員が、開発途上国のインフラ開発に対する日本の協力の概要、質を重視したインフラ開発という近年の潮流、そしてより良いインフラ開発を実現するための研究に関して、実務経験や研究に基づいたコラムを執筆しました。

【芦田華リサーチ・オフィサーコラム】インフラの恩恵にもジェンダー・所得格差?―モロッコの地方道路整備事業のインパクト評価から見えてくるもの―

JICA緒方研究所の芦田華 リサーチ・オフィサーが、モロッコの地方道路整備事業が人々の経済活動や若者の教育などにどう影響を与えたか、インパクト評価の分析をふまえてコラムを執筆しました。

JICA緒方貞子平和開発研究所ナレッジフォーラム「日本は途上国の質の高いインフラ投資にどのように貢献できるのか-ODAによる都市交通支援の事例から-」開催

「質の高いインフラ投資」をテーマに2023年9月に開催したナレッジフォーラムでは、JICAで都市交通インフラ整備に携わる登壇者が事例を紹介したほか、この分野に知見を持つ日本ならではの貢献と今後の展望について議論を行いました。

書籍シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」5 『インフラ協力の歩み—自助努力支援というメッセージ』

ODAの源流である戦後賠償・準賠償の時代から現在に至るまで、日本によるODAの中心は、アジアでの社会経済基盤(インフラストラクチャー)開発支援が占めています。同書では、その思想と通史を振り返り、欧米や新興ドナーの動きとも比較しながら、今、日本の援助が光る条件を考察しています。

ワーキングペーパーNo.207「Heterogeneous Effects of Urban Public Transportation on Employment by Gender: Evidence from the Delhi Metro」

都市の大量輸送インフラの代表例であるデリー・メトロが、女性と男性の労働参加率に与える効果を、3つの期間(1991、2001、2011年)のデリー市内の町レベルの区域パネルデータを用いて分析しています。

研究プロジェクト「開発途上国の持続可能な開発に係る研究~Inclusive Wealth Indexを用いた開発途上国の持続可能性評価と持続可能なインフラ開発の成功要因の検討~」

文献レビューや開発途上国のインフラ開発事業の分析を通じて、 特にODAなどの開発金融とPPP(Public Private Partnership/官民連携)を通じた持続可能なインフラ開発の成功要因と開発援助戦略の検討を行っています。

研究プロジェクト「インフラストラクチャー援助の貧困削減と持続可能な開発への貢献―スリランカ灌漑プロジェクトにおける長期パネルデータの構築と解析から―」

灌漑インフラを整備した便益として、所得の上昇に加え、灌漑の運用を通した他者との信頼関係構築などの社会関係資本の蓄積が見られる一方、土地の塩害化リスクといった環境への負荷の問題などが指摘されます。本研究では、スリランカにおける灌漑インフラに対する援助が生み出す貧困削減・持続可能な開発への貢献を、長期の世帯ミクロデータの解析を通じて検証しています。

研究プロジェクト「アジアのインフラ需要推計にかかる研究」

社会セクター、防災セクター、都市・高速鉄道のインフラ需要について、日本の事例研究に基づいてモデルを作成して推計を行うほか、現状の投資額との資金ギャップを埋めるための政策提言を行うことも目指しています。

研究プロジェクト「日本のインフラ開発経験の途上国への適用可能性に関する研究」

日本のインフラ開発が日本の国・地域レベルの経済社会にもたらした効果を計量経済学の手法を用いて分析し、関連する開発・財政政策の概要や効果についてのレビューを行うことで、開発途上国の持続的なインフラ開発に向けた示唆を導き出しています。

研究プロジェクト「インフラ事業の社会経済的なインパクトに関する実証研究」

JICAが支援するインフラ事業を対象に、そのインパクトに関するエビデンスの整備を進めるほか、JICAが支援する大型のインフラ事業が完成・運営開始する時期を捉え、事業効果の厳密な検証を行うことを通じて、質の高いインフラ投資のための実務的な知見の向上も目指しています。

関連する研究者

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
トピックス一覧

RECOMMENDこの記事と同じタグのコンテンツ