シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」5 『インフラ協力の歩み—自助努力支援というメッセージ』
JICA緒方研究所について
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ODAの源流である戦後賠償・準賠償の時代から現在に至るまで、日本によるODAの中心は、アジアでの社会経済基盤(インフラストラクチャー)開発支援が占めてきました。同書では、その思想と通史を振り返り、欧米や新興ドナーの動きとも比較しながら、今、日本の援助が光る条件を考察しています。
第1部では、1940年代のODA前史から、戦後賠償、量的拡大とアンタイド化、2010年代の「質の高いインフラ」まで、時代ごとに日本のインフラ支援の理念、政策、形態などの変化を論じています。さらに、日本のODAが本当に貢献したのか、経済的効果や貧困削減などへの寄与についても探っています。第2部では、日本のインフラ支援の主要な舞台となってきたインドネシア、ミャンマー、フィリピン、ベトナム、タイ、中国、インドを取り上げ、各国でのインフラ支援の歴史を説き起こします。
インフラ開発を歴史的に俯瞰した同書は、日本のインフラ支援の根底には、国造り、人づくり、そして相手国の自助努力を引き出す思想が連綿と流れていることを明らかにしています。著者は海外経済協力基金(JICAの前身のひとつ)でアジアのインフラ支援事業を多く担当し、ミャンマーやマレーシアにも駐在。常にインフラ支援の現場に向き合ってきた38年間を振り返り、日本のインフラ支援の成功例だけにとどまらず、批判や課題も含めて、その経験を伝えています。
本書は、JICA緒方貞子平和開発研究所の研究プロジェクト「日本の開発協力の歴史」の成果として発刊している書籍シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」(全7巻)の第5巻です。
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