実施中プロジェクト
日本の開発協力の歴史
(写真)1970年代から日本が協力したタンザニアのローアモシ灌漑地区
日本がODAで開発協力を開始してから60年以上が経過し、その間、国内の経済状況や国際社会の政治経済環境は大きな変化を遂げています。一方で、開発協力は、日本が国際社会への貢献を行う上で、最も重要な手段であり続けてきました。同時に、日本にとって、開発協力は自国の経済発展と一体不可分の存在であり、また主流の国際開発規範とは異なる独自の理念を世界に発信する手段でもありました。開発協力が国際社会の様々な課題に立ち向かう上での重要な手段であり続ける今日、今後我が国はどのような開発協力を実施していくべきか、それはどのような理念に裏打ちされたものであるべきかが、ますます問われるようになっています。
本研究プロジェクトでは、次の「3つの相対化」を追求しつつ、多様な角度から「日本の開発協力の歴史」を客観的・実証的に分析することを目指します。
① 長期的な視野による相対化:
歴史の潮流を知ることが、現代や将来の開発協力にどのような示唆をもつのかを明確に意識する。
② 世界的な視野による相対化:
援助受け入れ国側での動きや現場の人々の視点も取り入れ、国際的・多角的な視野から日本の開発協力の歴史を分析する。
③ 多面的な資料に基づく相対化:
体系的な資料収集やインタビュー調査に基づき、後世の批判に堪えうる研究を行う。
日本の開発協力は国際的に見てどのような特徴をもち、どのように変遷してきたのか、日本が得意とするインフラ整備や人材育成への貢献は長期的視野から見てどのように評価できるのか、途上国の現場で人々は日本の開発協力をどう受け止めてきたのか、開発協力の学術知と実践知はどのように相互作用してきたのか・・・、今後の日本の開発協力を考えていく上で欠かせない論点について、研究結果を和文書籍(シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」全7巻、東京大学出版会)にまとめ、学術的な基盤を提供することを目的としています。また、本研究においては、開発協力や途上国問題に必ずしも関心を抱いていない次世代の新たな読者層を開拓すべく、知的に新鮮な材料や画期的な切り口の提示を志向します。
編集委員:
下村 恭民(法政大学名誉教授)
佐藤 仁(東京大学東洋文化研究所教授、JICA緒方研究所客員研究員)
黒田 一雄(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授、JICA緒方研究所客員研究員)
山田 順一(JICA副理事長)
峯 陽一(同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授、JICA緒方研究所客員研究員)
高橋 基樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授)
加藤 宏(国際大学国際関係学科教授、JICA緒方研究所シニア・リサーチ・アドバイザー)
萱島 信子(JICA理事)
高原 明生(JICA緒方研究所長、議長)
各執筆者の研究課題:
1. 下村 恭民(法政大学名誉教授):
日本の開発協力政策の歴史—「もう一つのアプローチ」の展開
2. 佐藤 仁(東京大学東洋文化研究所教授):
世界と向き合う日本の開発協力—ODA批判から学ぶ自立と相互依存—
3. 黒田 一雄(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授):
日本の人づくり・教育協力史-世界的・理念的展望
4. 山田 順一 (JICA副理事長):
アジアのインフラを整備する-自助努力支援の軌跡—
5. 峯 陽一(同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授):
絆、偶発、主体性-「受益者」が回顧する開発協力
6. 高橋 基樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授):
日本の開発協力と知の履歴—学術と実践の対話をめぐって
研究成果(出版物)
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シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」6『開発協力のオーラル・ヒストリー—危機を超えて』
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シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」4『国際教育協力の系譜—越境する理念・政策・実践』
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シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」2 『最大ドナー日本の登場とその後 政策史2・1990年代以降』
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「アジアの経験をアフリカに」
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シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」7 『開発協力のつくられ方—自立と依存の生態史』
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Japan’s Official Development Assistance (ODA) to the Philippines
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援助協調の潮流と日本の対応
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シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」5 『インフラ協力の歩み—自助努力支援というメッセージ』
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書籍シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」
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シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」1『日本型開発協力の形成—政策史1・1980年代まで』
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【遺稿】 Interrogating “Comprehensive Development:” The Colonial-Wartime Background to Japan’s Development Cooperation
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The Historical Development of Japanese ODA Policy in the OECD: A Corpus Analysis of DAC Aid Reviews
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貧困削減戦略(Poverty Reduction Strategy)の今日的意味
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戦後日本におけるODA言説の転換過程 ——利己主義的な見地は如何にして前景化してきたか——
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「人間の安全保障」に見る日本の援助の特色 —外務省・JICA文書のレビューより
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日本の環境援助の史的展開: 日本の環境援助はなぜ有効性と競争優位が低下したのか?
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変化する環境と日本の援助政策 〜二つの政府開発援助大綱の策定から〜
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「DAC脆弱国取組原則」起草における 一担当者の取り組み
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「日本の開発協力の歴史」バックグラウンドペーパー
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国際開発金融機関を通じた日本の知見の発信に係る考察: 世界銀行の事例研究に基づく実態分析と提言
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戦後アメリカの生産性向上・対日援助における 日本の被援助国としての経験は何か — 民主化・労働運動支援・アジアへの展開
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