シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」4『国際教育協力の系譜—越境する理念・政策・実践』
JICA緒方研究所について
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近現代において教育は、国民国家による国民教育という形で提供されてきました。それでは国民国家が国境を越えて行う国際教育協力という営みは、国民教育と対比して、世界の教育発展の歴史の中でどのように位置付けることができるのでしょうか。
著者は、それを解き明かすために、日本における国際教育協力の歴史的展開を題材に、国際教育協力とは何なのか、それは何のために行われてきたのか、それが追求してきた価値・理念は何なのかを考察します。
第1部は、国際教育協力とそれを取り巻く教育のグローバルガバナンスの展開と歴史を、平和、開発、人権・公正という3つのアプローチに着目して追いかけます。第2部では、日本の国際教育協力の理念・政策の歴史的展開を、明治後期から現在まで、時代ごとに概観します。さらに終章では、世界的なコンテキストにおける日本の国際教育協力の歴史的展開を、第1部で示した平和、開発、人権・公正という、国際社会による意義付け・価値の観点から、横断的に分析します。
そして最後に著者は、教育のグローバルガバナンスが進展する中で、今後日本の国際教育協力が目指すべき方向性を議論します。それは、国際社会のニーズに沿った新たな教育の国際規範や教育のコンテンツ、あるいはグローバル・リージョナルな教育協力・連携のプラットフォーム、集約された日本・アジアの教育経験などを、「国際公共財」として世界に提供することだと結論付けています。
本書は、JICA緒方貞子平和開発研究所の研究プロジェクト「日本の開発協力の歴史」の成果として発刊されている書籍シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」(全7巻)の第4巻です。
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