JICA緒方研究所

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ワーキングペーパー

No.34 Assessing Effectiveness and Sustainability of Community-managed Informal Irrigation in Africa —A Comparative Institutional Analysis of "Temporary" Irrigation in Malawi—

マラウイでは、2000 年代前半より、農民グループによる「テンポラリー灌漑(簡易堰を伴った小規模灌漑、以下、「灌漑」)」が全土に普及しており、堰の建設には、地場資源と労働力を利用した簡易技術が適用されている。本論文では、「灌漑」がなぜ普及したのか(有効性)と、そうした「灌漑」技術は持続可能か(持続性)という2 点について、所有権と集合行為に留意しつつ、受益者農民の視点から分析する。3つの堰の比較考察によると、不安定な土地と水の保有状況や農民間の緩い集合行為にも関わらず、「灌漑」の普及に必要で、技術的(簡易な技術)・経済的(地場資源活用)・制度的(「灌漑」に必要な水・土地などの資源へのアクセス、緩い集合行為での運営)に有効な成立条件をほぼ満たしていることが分かった。しかし同時に、「灌漑」の普及により、水や土地の希少化や恒久堰への移行など、資源量や資源運用の性質が変化していることも明らかになった。将来的な「灌漑」の持続性確保には、1)灌漑自体の利益効率を上げる、2)流域保全策の推進、3)農民の集合行為への動機づけを理解した上での水利組合の強化などの政策が必要となろう。

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