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失われた教育機会の回復:紛争中および紛争後の教育に関する研究

教育は全ての人に保障されるべき基本的人権の一つですが、今日、その実現を阻害している最大の要因の一つが暴力的紛争です。世界で教育を受けられない子どもの約半数近くは紛争影響国/地域にいるとも言われ(※)、紛争の多くが数年、ときに数十年に渡って継続するため、紛争によって教育を受けられないまま学齢期を過ぎ、若者・大人世代になってしまう人々が多く発生しています。

ところが、そのように教育機会を失ったまま大人になってしまった人々(いわゆる「失われた世代」)が再び教育の機会を得ることは容易ではなく、そうした人々がどのような状況におかれ、何を必要としているのか、ということにはこれまであまり目が向けられてきませんでした。このような現状は、そうした人々の基本的権利を損なう問題であることはもちろん、本来社会の担い手となる人々に十分な機会が与えられないことによって当該国/地域の復興や平和の実現にとっても大きな損失となる可能性があります。

こうした問題意識の下、本研究では、紛争で教育機会を失った人々がどのようにして再びその機会—教育の「セカンド・チャンス」—を得られるかを探っていきます。具体的には、紛争下で教育機会を一度は失いながらも、その後何らかの形でセカンド・チャンスを得、一定レベルの教育を了した人々のライフ・ストーリーを収集・分析することにより、教育のセカンド・チャンスを可能にするための政策や制度、支援プログラムのあり方等について知見を得ることを目指します。同時に、紛争という危機下で行われる国際的支援ではとかく後回しにされがちな教育について、支援を受ける側の人々が実際どのように感じているかについても聞き取り、紛争影響国/地域における教育やその支援の意味について再考することも目指します。

(※)初等教育レベルで学校に行っていない子どもの42%は紛争による影響でそのような状態に置かれていると言われる。
出典:UNESCO (2011) The hidden crisis: Armed conflict and education, Education for All Global Monitoring Report 2011, Paris: UNESCO

研究領域
平和構築と人道支援
研究期間
2015年11月01日 から 2021年03月31日
主査
萱島 信子
JICA緒方研究所所属の研究者
後藤 幸子、 荒川 奈緒子
関連地域
  • #アジア
  • #アフリカ
  • #中東
  • #欧州

研究成果(出版物)