世界の各地で、戦争やクーデター、権威主義的な政権が人々の平穏な生活を破壊し、人生の豊かな可能性を追求する機会や命さえも奪う事例が続いています。また、大国間競争が激化する中、多くの開発途上国にとって、大国の思惑に翻弄されない外交環境や公正で安定した社会の運営体制を整えることが、以前にも増して重要になっています。
こうした認識を踏まえて、政治・ガバナンス領域では、いかなる国に住もうとも全ての人が人間の安全保障を享受できる国内政治および国際政治の条件や社会のしくみとは何かを考えます。例えば、自由民主主義や法の支配などの価値規範や制度についての検討です。これらを尊重しない国家が増大している一方、硬直的に定義された価値観は、大国が自己の立場を正当化し、他国を攻撃する手段として利用される危険性を孕んでいます。このような状況において、政治的・社会的な価値観や基盤となる制度を再考することは、これまで以上に重要な課題となっています。また、開発途上国が、激化する大国間競争に直面して、自国の平和と開発を確保するために、中国をはじめとする大国とどのような二国間関係を構築しようとしているか、という問いの探求も行っていきます。
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