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沈みゆく街 ジャカルタ: インドネシア環境セミナー報告

2011.01.28

JICA研究所の豊田知世リサーチ・アソシエイト(RA)は、環境問題専門家として「開発途上国における気候変動適応策と緩和策」の研究に取り組んでおり、日本の政府開発援助が途上国の気候変動対策にどの程度貢献してきたかを調査しています。また、京都の総合地球環境学研究所(RIHN)が実施している、アジア主要都市の発展段階と環境問題との関係を調査する研究プロジェクトにも参加・協力しています。「都市の地下環境に残る人間活動の影響」と題されたこのプロジェクトは、東京・マニラ・ジャカルタなど7つの都市における地盤沈下や地下水汚染などの地下の隠れた問題に焦点を当てたものです。今年1月にジャカルタで開催されたRIHN主催のフィードバック・セミナーに参加した豊田RAは、上記の研究にとって有用な考察を得て帰国しました。

インドネシア・ジャカルタ市の人口は2000年には830万人でしたが、2010年には950万人に増加しました。(中央統計庁調べ。)人口の増加によって水の需要が増え、地下水が過剰に汲み上げられたために急激な地盤沈下が起きています。さらに、土地の6割が海抜0メートル以下の低地であるため、雨季になると頻繁に洪水に見舞われるのが常で、気候変動による海面上昇と相まって事態は悪化の一途をたどっています。

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ジャカルタの洪水 (2010年2月)
写真提供: Tomomasa Taniguchi/Rissho University

水資源と地盤沈下の問題は、東京や大阪、バンコクにとっても他人事ではありません。東京と大阪は、地下水管理に関する条例の整備と堤防などの設備投資に力を入れることで対応し、バンコクでは地下水に課税することで問題解決につなげました。このように発展段階の異なる7都市を比較することで得られたデータや情報は、他の後発国や都市が今後同じような問題に直面したときに活用できると豊田RAは考えています。

豊田RAはセミナーを振り返って、「ジャカルタは地下水の問題や、気候変動が原因とも言われている豪雨による洪水、やはり気候変動が要因となって起きる海面上昇による海水侵入の問題を突きつけられている。マニラも同じような状況を抱えて対応に苦慮している。水をいかに管理するか、気候変動にどう適応するかということを合わせて考えることが重要だ」と述べています。さらに、「JICAのような機関が開発協力事業を行う際には、背後に潜んでいる気候変動ファクターの存在を常に意識し、持続可能な都市計画を多角的な視点から支援していかなければならない」としています。

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成長する都市ジャカルタ(August, 2008年8月)

関連研究領域:環境と開発 / 気候変動

関連研究プロジェクト:気候変動「開発途上国における気候変動適応策と緩和策の研究」

(日本語版はただ今作成中です。内容につきましては英語ページをご覧ください。)

開催情報

開催日時:2011年1月6日(木)
開催場所:インドネシア ジャカルタ

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