「気候変動がアジア大都市に与える影響の研究」でインドネシア開発庁と協議

2011.09.08

宮崎卓研究員は7月9~13日、研究プロジェクト「気候変動がアジア大都市に与える影響:フォローアップ研究(以下、「フォローアップ研究」)」の関連で、インドネシア・ジャカルタを訪問しました。JICA研究所は昨年度、フィリピン・マニラを対象として、世界銀行とアジア開発銀行と共同で実施した研究「気候変動がアジアの大都市に与える影響研究」を実施、その成果を公表しましたが、現在「調査」と「研究」の二つの方向で、この成果の更なる普及と発展が図られています。

一つは、上記のマニラを対象とする研究で確立された方法論を、同じくアジア地域における代表的な大都市であるジャカルタに適用すべく、東南アジア・大洋州部が実施中の調査「インドネシア国気候変動対策プログラム・ローンⅢ:ジャカルタ首都圏温暖化シミュレーション調査(以下、「調査」)」です。もう一つが、研究所の行う、「フォローアップ研究」であり、これは以下の2つの点で、研究としての付加価値を持つものです。第一の点は、ジャカルタにおける都市部貧困層、とくに気候変動・自然災害に脆弱な地域に居住している層の置かれている状況への理解を深め、リスクの軽減に向けた政策提言を行うことです。災害等による甚大な損害に直面し、基本的なライフライン整備の欠如から、衛生的にも劣悪な状況であるにも関わらず、これらの人々が他のより安全な選択肢が選べない理由を明らかにすることにより、状況の改善に向けた提言を行うことを考えています。そして第二点は、上記のマニラで得られた方法論を、十分な予算や権限を有していない可能性がある中規模都市に適用するために、「簡素化」することを検討するというものです。

(写真提供:JICA)

これに加えて、フォローアップ研究では、昨年度のマニラでの研究の蓄積を活用して、上記「調査」に対して助言・支援も行います。今回の出張の主な目的は、「フォローアップ研究」の一環として、カウンターパートであるインドネシア開発庁(Bappenas)主催の協議に出席し、今回の研究のアウトプットをインドネシア政府としてどう政策に役立てるか、特にインドネシアの文脈において有効な政策提言につなげるためには実施に際してどのような点を留意すべきか、といった点に関し、インドネシア側の関係各部門の代表らと議論するというものでした。協議の席にはジャカルタ特別州政府、気象庁、公共事業省などの関係者、計40名程度が参加し、さまざまな角度から討論を行いました。

また、今回の出張では、併せて、このフォローアップ研究の重要な一部である都市貧困層への洪水の影響を調査する家計調査のプレテストのモニタリングと、調査に必要な天候データ(雨量、気温、気圧など)を保有するインドネシア気象気候地球物理学庁(BMKG)と面談し、今回のフォローアップ研究等の意義について説明・協議するとともに、関連情報提供等の協力を働きかけました。

JICA研究所としては上記のように研究成果の活用等を通じ今後ともオペレーション部門への知的支援に努めていく予定です。

開催情報

開催日時:2011年7月9日(土)~2011年7月13日(水)
開催場所:インドネシア、ジャカルタ

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