JICA研究所が教育とジェンダー平等に関する研究成果を国際会議で発表

2011.11.15

10月26日から3日間、ソウル大学教育研究所(Education Research Institute)と韓国教育開発院(Korean Educational Development Institute)の共催により教育研究国際会議が開催されました。教育研究の国際的普及・支援を目的とする本会議には、毎年、世界各地から500名以上の専門家が集合します。今年は「持続的開発のための国際教育協力の批判的評価とグローバリゼーション」というテーマのもと、持続可能な開発における教育研究と現場の対話促進などが討議されました。

JICA研究所の結城貴子研究員は数々の発表者の中の一人として登壇し、イエメンの基礎教育に関する論文をもとに研究成果の報告をおこないました。「基礎教育におけるジェンダー平等の促進:イエメンの技術協力プロジェクトの考察」と題されたこの論文は、世銀の「世界開発報告書(WDR)2012:ジェンダー平等と開発」のバックグラウンドペーパーとして執筆されたもので、水野敬子JICA国際協力専門員、小川啓一神戸大学教授、坂井美保子JICA研究所助手(当時)との共著です。本研究ではイエメンのJICA技術協力プロジェクトのデータを用いた分析結果が示されています。

結城研究員は発表の中で、2005年から2008年にイエメン・タイズ県の約60校で試験的に実施されたJICAプロジェクトの事例を紹介しました。学校に行けない子供たちに教育機会を提供し、伝統的な地域社会の中で教育の質を向上させるため、JICAは特に住民参加型の学校管理体制の構築に力を入れました。結城研究員のチームはプロジェクト1年目と最終年、さらに終了してから2年後という3つの異なる時期のデータを抽出し検証しました。分析結果から、教育による女子のエンパワメントはジェンダー格差の是正に効果がある一方、その持続可能性は学校の指導者層のジェンダー平等に対する見解や地域住民の参加の度合いなどによって異なるということが分かりました。また、結城研究員は、研究結果を現地のカウンターパートやJICAスタッフへ報告した結果、後に現地でそのフィードバックに基づいたフォローアップ調査が実施されることにいたったエピソードを、現場との対話の一例として紹介しました。

多くのコメントが寄せられる中、ビル・カタリア・アフリカ教育開発協会事務局長は、アフリカで教育プロジェクトを実施する際には宗教指導者と連携することが重要だと指摘しました。実際にイエメンのJICAプロジェクトでも現地宗教指導者たちの協力で、より住民へプロジェクトの存在を伝えることができました。結城研究員は西アフリカの事例で他に同様の例があれば今後も紹介していきたいということです。

同研究員はアジアやアフリカの教育研究者と研究成果を共有できたことは非常に素晴らしかったと今回の会議を振り返り、これからも引き続き西アフリカの教育におけるジェンダー平等の研究に取り組んでいくと語りました。

開催情報

開催日時:2011年10月26日(水)~2011年10月28日(金)
開催場所:韓国、ソウル

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
トピックス一覧

RECOMMENDこの記事と同じタグのコンテンツ