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OECD会合で、主観的幸福度の公共政策上の意義に関する研究成果を発表

2012.10.24

10月16日から19日の4日間、インドの首都ニューデリーで開催された経済開発協力機構(Organisation for Economic Co-operation and Development:OECD)とインド政府による第4回OECD世界フォーラム「Measuring Well-Being for Development and Policy Making」に高橋義明研究員が出席し、主観的幸福度の公共政策上の意義に関して発表を行いました。

本フォーラムは、ポストMDGの議論への貢献に向けて、昨年5月のOECD設立50周年の折に同機構事務総長のアンヘル・グリア氏から発表された提言「より良い生活を送るためのイニチアチブ」を基に、新興国や途上国において幸福な生活の構築が持続可能になるように様々な見地から議論を行うことを目的とされ、コスタリカ副大統領のルイス・リベルマン氏やOverseas Development Institute(ODI)所長のアリソン・エバンス氏をはじめ開発援助に関わる有識者が数多く参加しました。セッションは「経済状況」「生活の質」「ジェンダー、人生経路、社会的集団群」「持続可能性」といった4つのテーマが設定され、「生活の質」セッション内のワークショップ「Increasing people’s subjective well-being(主観的幸福度の向上)」にパネリストとして参加した高橋研究員は、「Subjective well-being as a policy tool」と題した発表を行いました。この中で、これまで普遍的に考えられていた欧米での調査結果を基礎とした主観的幸福度の議論とは違い、文化の違いによって幸福感は変わることを、JICA研究所の研究プロジェクト「幸福度からみた開発政策再考に関する調査研究」の共同研究者である京都大学の内田由紀子氏やインド・インフォシス・リーダーシップ研究所のティシ・バトナガール氏などの研究成果も引用して言及し、その文化差が各国での主観的幸福度の分布の形状の違いに表れることを解説しました。平均値と幸福感の頻度のピークが重なるブータンやブルガリアのような正規分布型、平均値よりもピークが高い英国やオランダのようなベキ分布型、平均値を挟んで左右に2つのピークがある日本などのアジア諸国やギリシャ、ハンガリーのような双峰型の3つのタイプを紹介し、「この差は幸福を感じる際の参照点の違いが影響したものであり、データもその参照点の文化差を示している」と主張しました。

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高橋研究員

この発表について、同ワークショップのパネリストの一人であり、OECDにおいて主観的幸福度計測のためのガイドライン作りを行っているコーネル・スミス氏は「幸福度の分布の差異がなぜ生まれているかを検証することが今後の研究の課題と感じており、高橋氏の発表はまさにこれに当てはまる注目すべきものである」と述べました。その後の質疑応答やプレナリーセッションでも様々なコメントが多く出され、特に欧米以外の地域から参加した有識者から好評が相次ぐなど、高橋研究員の研究に高い関心が寄せられました。

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関連ファイル

開催情報

開催日時:2012年10月16日(火)~2012年10月19日(金)
開催場所:インド、ニューデリー

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