CSISとJICA研究所が共同研究2年目の報告書発刊イベントを東京で開催

2017.09.29

米国戦略国際問題研究所(CSIS)とJICA研究所による共同研究の二年次成果報告書「Harnessing the Data Revolution to Achieve the Sustainable Development Goals: Enabling Frogs to Leap(SDGsとデータ革命:リープフロッグをどのように導くか)」の発刊イベントが、2017年9月19日にJICA研究所で開催されました。同イベントは、9月11日にCSISの本部があるワシントンD.C.でも開催されました。

冒頭、JICA研究所の北野尚宏所長が開会のあいさつを行い、共同研究の概要や情報通信技術の発展に伴うデータ革命によるSDGsへの貢献、データ技術の活用による開発途上国の「リープフロッグ(飛躍的発展)」の概念を紹介しました。また、日本の現状としては必ずしもデータ革命の最先端にいるわけではなく、日本は途上国からも学び、データ革命やリープフロッグを成長の原動力にしていくことが必要ではないかと述べました。

続いて、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)の武内和彦理事長が「知識のイノベーションと持続可能な開発目標」と題して基調講演を行いました。IGESが開発した国ごとにSDGsの各目標の相関性がわかるデータ可視化ウェブツールを紹介し、それぞれの目標の関連性を横つなぎに見ていき、調和的なものは一緒に取り組むことで相乗効果も得られると説明しました。

次に、CSISのダニエル・F・ルンデ プロジェクト担当部長が報告書について発表し、SDGsの達成とデータ革命の発展には日本のリーダーシップが重要だと強調しました。報告書作成のプロセスや、データ革命の発展に寄与している主要なデータ技術、ケーススタディを紹介し、最後に次のような国際社会への提言を説明しました。

武内和彦地球環境戦略研究機関(IGES)理事長が基調講演でウェブツールを紹介

ダニエル・F・ルンデCSISプロジェクト担当部長が報告書について発表

その後、北野所長がモデレーターを務めたパネルディスカッションでは、まず各パネリストがデータ革命にまつわる発表を行いました。世界銀行のハイシャン・フー開発データグループ長は、同グループのミッションや革新的なデータ技術、データ革命がSDGsのモニタリングと達成にどのように貢献するかについて、また、ミャンマーのワー・ワー・マウン中央統計局長は、SDGs達成に向けたこれまでの取り組みや、統計の能力強化戦略などについて説明しました。

JICA企画部の紺屋健一SDGs推進班参事役は、データを活用したラオスでのバスの運行管理支援といったJICAプロジェクトの成功事例を紹介し、データによって人々の態度に変化が起こり、それがSDGs達成につながっていくと述べました。最後に日本電気株式会社の久木田信哉グローバルビジネスユニット主席技師長は、顔認証システムなどの自社の技術を例に挙げ、こうした技術がさまざまな目的に活用できる大きな可能性を秘めていることなどに触れました。

パネリストはSDGsを達成するためにどのようにデータを活用するか、データ革命を阻む課題は何か、セクターをまたがる連携をどう推進するかなどについて意見を交換。さらに会場の参加者からは、SDGsへの日本企業の取り組み、SDGs達成に向けたSNSの活用、統計を担当する地方行政官の育成についてなど、多種多様な質問が挙がり、活発な議論が交わされました。

国際機関、開発途上国、民間企業など、多様な立場から活発な議論が行われた

最後に、JICA研究所の萱島信子副所長が閉会のあいさつをし、「データによるイノベーションの実現には、データの収集・分析ができる人材を育てることが重要。JICAが取り組んでいる人材育成をSDGs達成に生かしていければ」と締めくくりました。

発表資料

<外部リンク>

関連動画

【動画】講演「知識のイノベーションと持続可能な開発目標」武内和彦・公益財団法人地球環境戦略研究機関理事長(JICA研究所公式チャンネル)

【動画】プレゼンテーション「SDGsとデータ革命」ダニエル・ルンデCSISプロジェクト担当部長(JICA研究所公式チャンネル)

関連する研究者

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
トピックス一覧

RECOMMENDこの記事と同じタグのコンテンツ