COP23で持続可能な開発計画への新たなアプローチを議論—成田招聘研究員

2017.12.04

2017年11月6~18日に、国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)が、ドイツのボンにて開催されました。JICAは、気候変動に関するさまざまな課題の議論に開発途上国支援の経験と知見を踏まえて貢献するため、ジャパンパビリオンで複数のサイドイベントを開催しました。

そのひとつとして11月8日に「Making Robust Investment Decisions under Deep Uncertainty: A New Approach to Sustainable Development Planning in Uncertain World(不確実性の大きな状況下での適応性の高い投資判断:不確実な世界で持続可能な開発を計画するための新しいアプローチ)」が行われました。本イベントではJICA地球環境部気候変動対策室佐藤一朗副室長がモデレーターを務める中、JICA研究所の成田大樹招聘研究員(東京大学准教授)がプレゼンテーションを行い、パネルディスカッションにも登壇しました。

JICAによるケニアでの灌漑プロジェクトについて発表する成田招聘研究員

このイベントのキーワードとなったのが、「大きな不確実性下の意思決定(Decision Making under Deep Uncertainty: DMDU)アプローチ」。従来、開発計画の伝統的な評価手法は、未来をできるだけ正確に予測し、その予測の下で最適なオプションを見つけようというものでしたが、例えば将来の影響がまだよくわからない気候変動が関係する事業の評価を行う場合は、そのような正確な予測は困難です。そこで解決策のひとつとして近年注目を集めつつあるDMDUアプローチは、まずとりうる戦略やオプションを洗い出すことから始め、それらを考えうる限り多くの将来のシナリオ下でストレステストを行うことで、最も適切なものを見つける方法です。

成田招聘研究員は、「不確実性下の頑健な投資決定:ケニア国ムエア灌漑開発プロジェクトの事例研究(Making Robust Investment Decisions Under Deep Uncertainty: Case Study of the Mwea Irrigation Development Project, Kenya)」と題して、JICAが開発を進めている不確実性のもとでプロジェクトを評価するRDM(Robust Decision Making)フレームワークを適用したケニアでのムエア灌漑開発プロジェクトを紹介。このケーススタディーでは、プロジェクトを実施するオプションと実施しないオプションについてDMDUアプローチによるシミュレーションを行い、この地域での将来の米の生産量と収入を比較した結果、プロジェクトを実施する方が気候変動によるネガティブな影響が少ない、つまり灌漑プロジェクトは気候変動適応策としての効果もあるということを示しました。

パネルディスカッションではDMDUアプローチへの認識を広める重要性を確認

発表後のパネルディスカッションでは、モデレーターを佐藤副室長が務め、成田招聘研究員もパネリストとして参加しました。DMDUアプローチに対しては、大量のデータを使った高度な計算が必要とされ一般に普及しづらいのではないか、あるいは気候変動の影響は将来現れるため効果の実証が難しいのでは、といった指摘もありますが、これらは開発に携わる実務家や開発途上国のステークホルダーの理解不足も大きいと考えられるため、参加者間では幅広いステークホルダーにDMDUアプローチへの認識と理解を広めることが必要という見解で一致しました。

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