国際開発学会第22回春季大会で「日本の産業開発と開発協力の経験に関する研究」の成果を発表

2021.07.14

2021年6月12日に国際開発学会第22回春季大会がオンライン(文教大学東京あだちキャンパス)で開催されました。同大会において、JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)の大野泉シニア・リサーチ・アドバイザー(政策研究大学院大学教授)が共編者を務めた書籍『途上国の産業人材育成—SDGs時代の知識と技能』の出版を記念し、「途上国の産業人材、生産性、カイゼン」と題したラウンドテーブルが実施されました。

同ラウンドテーブルで司会を務めた大野シニア・リサーチ・アドバイザーは、冒頭に「産業人材の多面性を念頭に置いて、日本が今まで実施してきた協力を振り返るとともに、産業構造転換がとりわけ重要課題となっているアフリカへの示唆と課題を考え、研究と実務を架橋したい」との問題意識を述べました。

生産性向上に向け、零細企業のレイアウトの改善を考えるエチオピアのカイゼン機構の訓練生(写真:JICA)

JICA緒方研究所の研究プロジェクト「日本の産業開発と開発協力の経験に関する研究:翻訳的適応プロセスの分析」の研究分担者である辻本温史リサーチ・オフィサーは発表者として登壇し、日本の産業人材育成分野の協力の特徴を歴史的な視点から検討し、「日本の伝統的な産業人材育成協力は技術職業教育・訓練(TVET)機関における寄り添い型で中身志向であり、これはTVET政策支援が中心となっている現在の世界的な潮流とは異なる」と述べました。また、神公明専任参事も討論者として登壇し、「カイゼンをアフリカで普及する際に、現地の人々が技術や知識をアフリカの文脈に沿って主体的に読み換えること(翻訳的適応)が重要」と指摘したほか、学校教育と職場での訓練に求められる役割の違いについて議論しました。

全体ディスカッションでは、産業の側から見た「教育」の意義、ソフトスキルの形成、カイゼンの課題、労働者の多様性、組織の在り方の違いなどについて、幅広い議論が交わされました。

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