『途上国の産業人材育成—SDGs 時代の知識と技能』
日本は長年にわたり、開発協力や官民連携を通じて開発途上国の産業人材育成に重点的に取り組んできました。本書は、JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)の研究プロジェクト「日本の産業開発と開発協力の経験に関する研究:翻訳的適応プロセスの分析」の研究チームと、名古屋大学のSKYプロジェクト(Skill and Knowledge for Youth Project)の研究者(研究代表者:山田肖子教授/同大学アジア共創教育研究機構・国際開発研究科)をはじめ、アジアやアフリカなどの途上国の産業開発、教育・人材育成に関わってきた第一線の研究者や実務者が連携して取り組んだものです。
本書は、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」に代表される国際潮流を念頭におき、今日的な視点でグローバル化時代の知識観や技能習得、生産性向上などの産業人材育成の課題をとりあげています。産業、教育、雇用、労働を含む総合的な視点に立ち、また国家、外資、地場企業、インフォーマルセクター、教育機関といったさまざまなアクターに焦点を当てて、多面的に産業人材育成を論じている点に特徴があります。理論・知識観の変遷(第一部)、特徴的な事例・テーマ(第二部)、現地調査や実証分析に基づくミクロレベルの考察(第三部)の三部構成になっています。
JICA緒方研究所の大野泉シニア・リサーチ・アドバイザー(政策研究大学院大学教授、本研究プロジェクト主査)が共編者を務めたほか、執筆者として、研究分担者である神公明JICA緒方研究所専任参事、辻本温史JICA緒方研究所リサーチ・オフィサー、森純一氏(ILOチーフテクニカルアドバイザー、元JICA緒方研究所研究員)、大野健一氏(政策研究大学院大学教授)が参加しています。
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