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【今月の研究ピックアップ】3月21日は国際森林デー

2025.03.18

(写真:JICA/蓮井幹生)

3月21日は国連が定めた「国際森林デー 」。森林は、人々に食料や資源を提供し、生物多様性を守るなど、さまざまな機能を持っています。毎年この日には、地球に暮らす多くの生き物が生存を続けるために欠かせない森林の重要性について意識を高める取り組みが世界中で行われています。

“森林コーヒー”を知っていますか?これは、コーヒーの原産国であるエチオピアの森に自生するコーヒーのこと。JICAでは、その「森林コーヒー」の品質向上や販売を通して、地域住民が森林を持続的に管理できるように長年支援を続けています(詳細は以下からご覧になれます)。

その一環として、2003~2013年には「ベレテ・ゲラ参加型森林管理プロジェクト 」が実施されました。森林を守るためには、そこで暮らす人々の生活の向上が重要です。そこで、住民による森林管理組合の設立、農業生産性の向上を目指すファーマーフィールドスクールの実施、森林コーヒー販売による収入向上など、さまざまな取り組みが行われました。同プロジェクトに関連したJICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)の3つの研究成果をご紹介します。

プロジェクト・ヒストリー『森は消えてしまうのか? エチオピア最後の原生林保全に挑んだ人々の記録』

同プロジェクトの取り組みは、それまでのJICAの環境保全の取り組みと比較して、また民間セクターとの連携という意味でも画期的なものです。しかし、エチオピアの森から世界の市場に出ていく挑戦は想像以上に困難な道でした。同書では、プロジェクト・エスノグラフィー(一人の「外部者」が対象となるプロジェクトを観察し、それを観察者の視点から「再構築」する試み)の手法を用いて、現場の試行錯誤や課題を丹念に聞き取り、一つの物語にまとめています。

ワーキングペーパーNo.31「Impact of Community Management on Forest Protection: Evidence from an Aid-Funded Project in Ethiopia」

リモートセンシング技術で解析された衛星データを利用し、参加型森林管理組合の設立が森林保全に及ぼす効果を定量的に推計しています。

ワーキングペーパーNo.55「Impact of a shade coffee certification program on forest conservation: A case study from a wild coffee forest in Ethiopia」

プロジェクトの一環として住民が森林コーヒー認証を取得したことが、どのような効果を森林保全に及ぼしたか、定量的に推計しています。

その他にも、森林保全に関する以下の研究成果も発表しています。

ワーキングペーパーNo.140「Toward an Accounting of the Values of Ethiopian Forests as Natural Capital」

森林はさまざまな生態系機能を通じて人間社会に多大な恩恵を与えているにもかかわらず、森林が持つ多様な価値に関する定量的な経済評価はあまり行われてきませんでした。そこで、本研究では、エチオピアの森林の経済価値に関する独自の試行的定量評価を実施しています。

山田研究員らが執筆したブログ「Protecting Forests: Are Early Warning Systems Effective?」がブルッキングス研究所ウェブサイトに掲載

森林破壊を検出し、それを抑制する取り組みとして、人工衛星データが活用されています。JICAがJAXAと連携して提供しているJJ-FASTは、日本のレーダー衛星のレーダー波探知を利用して森林破壊を検出し、データを全世界に無償公開しています。JICA緒方研究所の山田英嗣 主任研究員らが執筆したブログでは、JJ-FASTのデータを併用しているブラジルを例に、JJ-FAST活用が森林破壊の減少にどの程度貢献しているか、定量的な評価を試みています。

このブログは、ブルッキングス研究所との共同研究の成果である以下のオープンアクセス書籍の第8章を基にしています。こちらもぜひご覧ください。

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