The Continuum of Humanitarian Crisis Management - Messages for the World Humanitarian Summit
JICA研究所は「二国間援助機関による人道危機対応に関する比較研究」の成果に基づき、以下の5点から成る「人道危機対応におけるコンティニュアム:世界人道サミットへのメッセージ」を作成しました。これは5月23日と24日にイスタンブールで開催される「世界人道サミット」で配布するものです。
(1) 人道危機対応はノン・リニア(non-linear)である
人道危機対応の救援(relief)、復旧・復興(recovery)、予防(prevention)を段階的、時系列的に進むプロセスではなく、互いに重複し往来しうると認識すること。人道危機対応がノン・リニアであることの認識を、戦略、調整、ファンディングに反映させるべき。
(2) 支援者間のマンデートやマインドセットの違いを乗り越える
人道危機対応に関わる国際機関、NGO、被災当事国政府機関といった主体の属性・マンデートの違いを乗り越えた協力を促進すること。そのためには被災地の状況に応じた柔軟な制度、調整メカニズムが形成されるべき。
(3) 被災地を中心に据える
人道危機対応のサイクルにおいて「被災地(のアクター)」が意思決定、支援の実施、評価、予防の中心となること。外からの支援が主役となるのではなく、被災地のオーナーシップを優先すること。時に(特に紛争影響国において)政府の正統性が低い場合もありうるが、被災地自身を人道危機対応の中心に据え、その能力が十分に発揮されるよう支援すること。
(4) 危機発生時から予防のための活動を開始する
救援や復旧・復興を主眼とした活動において、危機前よりも高い回復力を獲得することが重要。危機発生時には救援や復旧・復興に注目があたり、早期に予防を開始することが難しいのが現状であり、予防の重要性を再確認すべき。
(5) グローバルレベルな協力体制を危機の種類に応じて作り直す
継ぎ目のない支援を行うためにも、限られた資源の有効活用の観点からも、人道危機対応として、人道や開発といった区分に即した活動ではなく、干ばつ、紛争、パンデミック、地震など危機の種類に応じた協力体制を構築することが重要。
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