No.17 Financial Literacy Among Microfinance Borrowers: Its Importance and Determinants from a Household Survey in Cambodia

  • #ディスカッション・ペーパー

金融包摂は、途上国において貧困削減と人々の生活水準向上において重要な役割を持つ。カンボジアでは、マイクロファイナンスの拡大は金融包摂に大いに貢献をしてきたが、近年金融リテラシーの不十分な借り手の間で過度な債務負担が起こっていることが指摘されている。金融リテラシーの不十分な借り手は、ローンの返済を過小評価し、消費目的や生産性の低い投資のために高い利息で借り入れを行っているケースがしばしば指摘されている。そのため、金融包摂をさらに進めるうえでは、どういった要因が金融リテラシーの程度に影響しているのかを把握し改善していくことが求められる。本研究では、2021年の家計調査からのデータを用いて、カンボジアのマイクロファイナンスの借り手における金融リテラシーを測定するとともに、個人や世帯の特性に注目し、彼らの金融リテラシーに影響を与える要因を分析した。分析の結果、(1) 金融リテラシーとインフォーマル金融へのアクセスとの負の相関関係、(2) 教育年数と金融リテラシーの間の正の相関関係、(3) 貧困と金融リテラシーとの間の負の相関関係、および(4) 高い社会関係資本(地域内の社会的ネットワーク)と金融リテラシーとの間の正の相関関係が実証的に明らかになった。これらの分析結果は、カンボジアにおける金融リテラシー改善の方向性を示唆するとともに、金融リテラシーの改善が金融包摂のさらなる向上や過重債務問題の解決につながる可能性を示唆するものと考えられる。

キーワード:金融リテラシー、社会関係資本、マイクロファイナンス

著者
ソワンルン・サムレト相場 大樹、 Vandy Phal
発行年月
2024年1月
言語
英語
ページ
31
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #貧困層支援・格差是正
研究領域
経済成長と貧困削減
研究プロジェクト