No.20 Examining Women’s Commuting Experience in Urban Philippines: A Photovoice Exercise on Human Security
JICA緒方研究所について
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人間の安全保障というと、災害などの大惨事を連想しがちである。しかし私たちの日常生活にも、日々の暮らしに埋め込まれた絶え間ない懸念が満ちあふれ、私たちの人間の安全保障を脅かしている。多くの研究が、移動しやすさ(モビリティ)の問題は持続可能な地域社会を実現するための中心的な課題であること、また社会規範に起因する行動の違いにより、人は日常生活の中で移動する際にも、ジェンダーに基づき異なる経験をしていることを示している。本研究では、マニラ首都圏に通勤する30人の女性の日常的な経験を、フォトボイスという手法を用いて検証する。人間の安全保障の視点を取り入れ、女性が通勤中に直面する困難は、いくつもの課題が作用し合って複合化していることを明らかにした。また、より安全に通勤するために、女性が採り入れている様々な自己防衛やエンパワメントの仕組みについても調査した。その結果、調査に協力した女性は公共交通機関やそれを支えるインフラの質の低さゆえ、多面的な人間の安全保障上の課題に直面していることがわかった。
キーワード:人間の安全保障、エンパワメント、女性の移動しやすさ、女性と交通、マニラ首都圏
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