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No.36 Does Infrastructure Improve Human Well-being? Analysis of Japan's Subnational Human Development Index (1960–2020)

  • #ディスカッション・ペーパー

インフラは、人間の社会活動の幅広い範囲にわたって影響を及ぼす。本論文では、日本の都道府県別人間開発指数(HDI)の長期パネルデータ(1960-2020)を新たに構築し、その分析を通じて、インフラが人間の豊かさの度合い(human well-being)にもたらす影響を検証する。分析の結果、インフラは総じてHDIに正の影響を与えている。運輸・水衛生・教育インフラ合計の影響はHDIに対して有意に正であり、インフラストックが1%増えるごとにHDIは0.016伸びることが明らかにされた。この正の影響は、分野別でみた場合、運輸インフラによるところが大きく、その経路は、人や企業の経済活動の活発化を通じた生産性の向上や経済成長への貢献、学校へのアクセスの改善を通じた進学率向上への寄与である。但し、運輸インフラは平均余命に対しては負の影響を示しており、その経路の可能性としては、1960・70年代における交通事故や大気汚染の深刻化が考えられる。以上の分析結果は、インフラと人々の豊かさ(human well-being)との大局的な関係の明確化に貢献するものである。また、日本のインフラの評価をより多面的なものにするとともに、増えつつある新興国のインフラ投資に対しても知見を提供する。

キーワード: インフラ、公共資本、人間開発指数、日本、運輸、水衛生、教育

著者
石塚 史暁
発行年月
2025年3月
言語
英語
ページ
23
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #運輸交通
  • #インフラ
研究領域
経済成長と貧困削減
研究プロジェクト