No.52 How Signboards on the Trained Farmers’ Plot Facilitate Farmer-to-Farmer Extension (F2FE): A New Approach to Remove Demand-Side Constraints from Rice Management Training in Rainfed Mozambique
JICA緒方研究所について
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サハラ以南のアフリカでは、低い農業生産性が食料安全保障の制約要因となっている。農業研修やデモ圃場の設置といった供給側からの介入は、稲作営農技術の普及を促進するが、多額の費用を要することが多く、地理的に孤立した農家にまで届かない場合も少なくない。農家間普及(Farmer to Farmer Extension, F2FE)は、社会的学習を促進する費用対効果の高い代替手段であるが、研修を受けていない農家が研修を受けた農家に容易にアクセスできない場合、その効果は限定的となる。従来の手法では、研修を受けた農家に対して金銭的または非金銭的なインセンティブが提供されてきたが、こうした仕組みはコストがかさみ、持続させるのが困難な場合がある。本研究では、研修を受けた農家の圃場に看板を設置するという、新たな「需要側」のアプローチを導入した。この看板には農家の氏名、連絡先、導入した技術内容が記載されており、他の農家が研修を受けた農家を特定し、直接情報を得られるようにしている。モザンビークの天水農業地域にある16の農業者組合に所属する219戸の農家を対象としたバランス・パネルデータを用い、傾向スコアマッチング・差の差分析(PSM-DID)を適用して、看板の認識が営農選択とその成果に与える影響を推定した。分析には、ローゼンバウム・バウンズ(Rosenbaum bounds)PSMや、逆確率重み付けDID(IPW-DID)による検証も実施している。その結果、看板を認識した研修を受けていない農家は、改良技術を採用する可能性が高く、その結果として、水稲収量はヘクタールあたり302~387 kg(未認識グループ平均の33~43%)、水稲所得は6,770~8,737 MZN(同37~48%)増加したことが示された。また、看板の設置は、一度技術を採用した農家が不採用に戻ることを抑制する効果もあった。ただし、デモ圃場での直接研修では、推奨されるすべての技術の採用を促進した一方で、看板による効果は特定の技術の採用を促進するにとどまった。これらの知見は、資源が限られた農業システムにおいて、F2FEを強化し生産性を向上させるための、簡便かつ低コストな「需要側」の仕組みが持つ可能性と限界を浮き彫りにしている。
キーワード: 技術採用、普及制度、稲作