Enhancing Community Health System Resilience: Lessons Learnt During the COVID-19 Pandemic in Uganda Through the Qualitative Inquiry of the COVID Task Force

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目的

本研究は公衆衛生上の危機の際にも機能する強靭な保健システムに必要な要素を抽出することを目的としています。

従来の研究では、強靭な保健システムとは、突発的で予測不可能な状況の変化に備え、状況に柔軟に対応しながら適切にさまざまな資源を管理し、活用できるシステムだと言われてきました。新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生時においては、コミュニティーの保健システムを効果的に機能させるために、コミュニティーの状況を把握している地域住民が中心となって自律的に危機的状況に対処できるコミュニティーエンゲージメント戦略が特に有効とされ、多くの国で導入されました。

WHOは新型コロナウイルス感染症のパンデミックを乗り切るためにはコミュニティーエンゲージメント戦略が非常に重要として、導入のモデル国にウガンダを指定しました。このことから、本研究はウガンダを対象にコミュニティーエンゲージメント戦略が地域保健のシステムに与えた影響について分析をしました。

手法

2022年3月、ウガンダの4つの地区で、新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生時に、コミュニティーエンゲージメント戦略導入の中心的役割を果たした新型コロナウイルス感染症タスクフォースのメンバーを対象として、フォーカスグループディスカッション(参加者数22人)を実施しました。ディスカッションは①保健システムが機能した/しなかったケース、②各ケースの正/負の要因、について行われました。

結果と考察

フォーカスグループディスカッションのナラティブデータのテーマ分析から、強靭な保健システムを機能させるために鍵となる要因を抽出しました。その結果、最新の知識、資源、コミュニケーション、ガバナンスが抽出され、従来の研究による主張の妥当性が確認されました。さらに、本研究からは保健システムが機能するために重要な要因は危機発生からの時間経過によって変化することが新しく見出されました。危機発生直後は政府主導による発生事象に関する最新知識の獲得や、物的資源の確保が重要ですが、時間が経過するに従って、地域住民間のコミュニケーションを通じて、地域住民が自身のコミュニティーの状況を把握し、そして、確保された物的資源をコミュニティーの状況にあわせて自律的に管理し、活用方法を決定・活用するコミュニティー内の共助的ガバナンスがより重要となってくることが分かりました。

このことから、強靭な保健システムを機能させるためのとるべき施策は、危機発生からの時間的経過により政府主導から住民を中心とした地域コミュニティー主導に変化させるべきであることが示唆されました。

著者
齋藤 聖子駒澤 牧子、 Robert Ssekitoleko、 ミョー・ニエン・アング
発行年月
2023年11月
掲載誌
Frontiers
言語
英語
ページ
8
関連地域
  • #アフリカ
開発課題
  • #保健医療
DOI
https://doi.org/10.3389/fpubh.2023.1214307
研究プロジェクト