Can ‘Tanzania Ladies First’ be a Trigger for Female Athletes to Continue in Sport?

  • #その他論文等

タンザニアでは、スポーツへの参画にジェンダー格差が残っています。その主な要因として社会・文化的および経済的な影響が、また、部分的な要因として市場経済への移行やウジャマー政策などの影響が挙げられます。女子児童は小学校卒業後に競技継続を断念することが多く、女性のスポーツ参画が男性より少ない一因となっています。こうした状況において、同国では2017年から女性限定の全国スポーツ大会「タンザニア・レディース・ファースト(LF)」が開催されてきました。本論文では、大会に出場した選抜選手と出場しなかった非選抜選手、選手の親らを対象に、定量的および定性的分析の混合法を用いた質問紙調査と無作為の聞き取り調査を実施することにより、エリート選手の競技継続におけるLFの役割を考察しました。その結果、LFへの出場がその後の競技の継続を後押ししたことが分かりました。一方、市場経済への移行の文脈において、LFがその理念に反し、女性のスポーツ参画を拡大するよりも、一部のエリート選手しか競技を継続できないような社会・経済構造を固定化している可能性も示されました。本論文は、市場経済の文脈に則し、女性や民間企業にとってのLFの魅力を高めるため、LFに対する国民的認知を向上させ、大衆やメディアに広めることが今後必要になると提言しています。また、学校卒業後の競技継続を促すため、スポーツを通じた生きる力の訓練を女子生徒向けに導入することを推奨しています。

著者
古川 光明
発行年月
2023年11月
掲載誌
Forum for Development Studies
言語
英語
ページ
21
関連地域
  • #アフリカ
研究領域
開発協力戦略
DOI
https://doi.org/10.1080/08039410.2023.2269949
研究プロジェクト